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東京都足立区北千住にある文部科学省認定の社交ダンス教室です。

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コラム

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47.笑顔の作り方「ダンスは先手必笑で」 2/2

それでは、早速!
笑顔(ビッグスマイル)の作り方

①まずは親指と人差し指の第2関節付近で頬の筋肉をつかみ(挟み)、頬骨から筋肉をバ
リバリと剥がす要領で、つまみあげる。そしてぐるぐる回す…。これ、けっこう痛いです。相方は、発表会などで緊張して固まっている生徒さんを見つけると、ぎゅうぎゅうと頬をつねったり、ぐるぐる回したりしていますが(笑)、決して鬼なわけではなく「血色もよくなるし、こわばった筋肉がほぐれて笑いやすくなる」とのこと。

②鏡の前で口角を上げられるだけ上げて10秒キープ。ゆっくり戻して、また上げて10秒キープ。繰り返す。(回数は個人差があるので、できるだけで可)

③口角をキープしたまま、頬の肉を上に向かって押し上げる。ゆっくり戻してまた上げる。を繰り返す。(キープの時間や回数は、できる範囲で)
この練習を毎日毎日してみてください。毎日毎日ですよ。

笑顔をキープするって結構しんどい。
「10秒がこんなに長いとは…」「頬の筋肉と口の周りの筋肉がいたい!」と、泣き言のひとつも言いたくなるはずです。
表情筋も筋肉ですので使わなければ手足の筋肉同様、容赦なく衰えていきます。
表情筋と呼ばれる筋肉はとても複雑で繊細な動きを可能にする一方、皮膚や骨といった不安定なものに付いているため、他の筋肉より下垂しやすいなど、衰えやすいそうです。
衰えた筋肉は硬化し、弾力性をなくし、たるみやシワを作ります。
その代表的な悪シワは…
眉間の縦シワ(別名・怒りシワ)
ほうれい線(小鼻の横から唇の端に向かって走るシワ)
マリオネットライン(口角から真下に向かって出るシワ)
ゴルゴライン(『ゴルゴ13』の東郷よろしく目の下から頬にあけて斜めに横切る疲労と薄幸を感じさせるシワ)
などなど。。まさに「魔の老けライン」。
女性が蛇蝎の如く嫌う老けシワでもありますが、同時に笑顔の天敵になる手ごわいシワやたるみでもあります。
そんな「魔の老けライン」にも笑顔は効きます。
子どもは一日に何百回も笑うそうですが、大人になると笑顔の数は激減し、
「そういえば今日一日笑ってない…」なんてこともよくあること。
当然顔の筋肉は硬くしぼんでしまいます。
私たちが日常使っている表情筋は30%ほどしかないそうで、自分じゃ大笑いしているつもりでも、3割分しか笑えて(動いて)いないということ。

笑わないと笑えなくなるのが「笑顔」です。
ほとんどの人が自分の笑顔に自覚がなく、麗しくにっこりと笑っているつもりでも、そうでもないことがほとんど。
人に、「にっこり」が伝わらなければ笑顔は何の意味はありません。
まずは鏡で、にっこりと笑い、自分の笑顔のマックス(限界)を知ること。
そしてビッグスマイルの練習をしてください。
あなたの踊りのパートナーや仲間や観客が、「楽しそう、幸せそう」に見える笑顔を。
これは微笑やうふふ笑いでは届きません。
もう、破顔一笑を目指して、にっこり、と。
印象はコロリと変わります。
芸は身を助けるといいますが、笑顔は芸を助けます。
ステップのことで頭がいっぱいでそれどころじゃない!という気持ちもわかりますが、
笑顔は実はクセです。習慣づけてしまいましょう。
最初は張り付いたような笑顔でもいいんです。
筋肉がじきに慣れ、自在に笑顔が繰り出せるようになります。
形状記憶できるほど笑ってください。
そして不思議なことに、笑っているうちに、なぜだか笑えるようなことが起きてきます。
笑顔(形)が先、感情は後。
「笑う角には福がくる」は、これです。
笑うから福がくるのであって、福がきたから笑うのではないんです。
ダンスも先手必笑!でいきましょう。

46.笑顔の作り方「ダンスは先手必笑で」 1/2

「社交ダンスの人ってなぜあんなにも、ビッグスマイルなんでしょうか?」と、テレビなどで競技ダンスを見た人から、不思議そうに聞かれることがあります。
それはひとえに印象をよくするため。
表現したいことをダイレクトに伝えるためです。
口角が下がった仏頂面で踊られても、(もちろん曲調にもよりますが、タンゴやパソ・ドブレなどは時折見せる愁いやドヤ顔が似合います)観ているほうは何も楽しくありません。
艶も色気も華も品格もオーラも愛嬌もすべてぶち壊してしまうのが無表情であり仏頂面です。(怖い…)。

印象の決めては90%が顔=表情だと言われています。
異性を誘うようなしどけない顔、
ぱっと弾けるような屈託のない顔、
喜びに溢れた顔、
フレンドリーな温かい顔、
一瞬の陶酔の後に続く挑むような顔、
どこか誇らしげな顔…
ちゃめっけたっぷりのいたずらな顔。
これらの顔はすべて「笑顔とともにある感情」です。
無表情から感情は読み取れませんし、ひきつった顔からは緊張感と焦燥感しか伝わりません。
表情と脳はリンクし、脳と体は当然つながっています。
だとすると無表情な顔で踊る体はやはり無機質で生気がなく、無表情な顔と体で踊るダンスは味もそっけもない人形のようでしょう。
そんな人やダンスに魅力を感じることはまずありません(そういう趣味嗜好の方もいるかと思うので断言は避けますが)。
となると、「笑顔なくしてダンスなし!」は社交ダンスの鬼の掟と言って過言ではありません。
ダンスといえど人はやはり顔(表情)を観ているのです。

先日、うちの教室が主催したパーティー(とミニ発表会)をごらんになった知人の女性が「○○さんという方がとても素敵でした」と、名指しで感想を述べておられました。
その方より上手な方はたくさんいたはずだったので、理由を尋ねてみたら、
「いい笑顔でとても楽しそうに、幸せそうに踊ってらしたので」と。
競技会ではないので点数こそ入りませんが、まさにこれが印象点です。

ちょっと話がズレますが、
心理学で、「ハロー効果」というテクニックがあります。別名後光効果。
思考を歪めてしまうバイアスで、肩書きや学歴、年収や外見などの特徴から、無意識に相手の評価を勝手に高めてしまう効果のことだそうです。
・隣のなんでもないおじさんだと思っていた人が東大法学部の出身と知れただけで周囲の、おじさんへの評価が「ナイスミドル」に変化する。
・痛いおたくだと思っていた小太り男子が年収2千万だと知ったとたん、女子が一斉に色めきたつ。
・美人タレントがCMでオススメする化粧品は効きそうな気がする。
・話した事は一度もないが、綾瀬はるかばりの癒し系美人なので性格も絶対美しいに違いない!と思い込んで一目ぼれする。
こういうことってありませんか?

実力以上の印象を与えうる「ハロー効果」を有効に使えば、相手に好印象を持ってもらうことが可能です。
そうなると、誰でもできて即効性のあるお手軽なハロー効果といえば…「笑顔」でしょう。
競技会やパーティー、発表会はもちろんですが、普段の生活の中でもいい笑顔で周囲の人にポジティブな印象を与えることは決して損なことはありません。

そこで、僕ら(僕と、ダンスと人生の相方でもある妻)がその昔、お互い「アイドルか!」とツッコミたくなるほど練習した笑顔の作り方をお教えします。

45.パーティーに行ってみよう! 2/2

加藤周介ダンスアカデミー直伝!楽しく踊るための7つの作法

①しっかり誘う、快く誘われる。そして断るときはエレガントに。
基本、男性が女性を誘います。「お願いします」「踊りませんか」と必ず一声添えて。
そして断られたときは、潔く引き下がる。舌打ちや不満たらたらの態度はみっともないです。散りぎわこそジェントルマンシップの見せ所。
女性はなるべく、快く申し出を受けること。「誘われたら断らない」のが原則です。
②不平不満を顔に出さない(もちろん言葉や態度にも)
レベルの差や踊り方の癖で上手く踊れない、また期待ハズレの相手で楽しく踊れない…、そんなときについつい表情やしぐさに出てしまうのはもってのほか。あなたを楽しませるために相手がいるわけではないことを頭にいれておきましょう。一期一会の数分間をどうやって楽しく過ごすのか? 自分が楽しむのではなく、相手を楽しませるつもりで踊ってみてください。
③自慢のステップを披露しない(男性)
パーティーは誰もが踊れるようなシンプルなステップで踊るのがマナーです。
ここぞとばかりに難しいステップを披露し、「上手いんです、僕」と主張するのは愚の骨頂。上手いより痛い人、残念な人、面倒くさい人…と認知されるだけ。「能ある鷹は爪を隠す」くらいで。
④特定の人とだけ踊らない
仲良しグループでパーティーに参加する方は、仲間だけで踊り、他の人とは踊りたがりません。「私、人見知りなんで」なのはわかりますが、パーティーは大人の社交の場。ダンスを通じて多くの人と楽しく交流する場ですから、積極的にいろいろな人と踊りましょう。知らない人と踊るどきどきを楽しんでください。技術も上がります。
⑤教えない、指導しない、鞭撻しない
「妖怪・教えたがり」が、出没しやすいパーティー会場。ステップが少々間違っていようとも、ダンスを楽しみにきているのであって、レッスンに来ているわけではありません。そのことを肝に銘じておきましょう。もちろん教えを乞われたら、気持ちよく教えてあげでください。ただし簡潔に。
⑥女性からも誘ってみる
社交ダンスのパーティーでは原則「男性が女性を誘うもの」となっていますが、女性から男性を誘うのもOKだと思います。誘われた男性は100%受けること。「肉食女子」といわれる昨今ですが、やはり女性から男性を誘うのは勇気のいることです。また気軽なパーティーならば女性同士もアリでしょう。ただし、男性が男性を誘うというのはNG(ざわざわ感が起こるのは必至です…)。
⑦踊っている最中に人とぶつかったら、必ず謝る。
人がひしめく会場で、ダンス中の接触事故は頻繁に起こりえます。ダンスのマナーというより人として当たり前のことですが、必ず「失礼」「すみません」と謝りましょう。またダンスを始める前に、「よろしくお願いします」終わった後に「ありがとうございました」のひと言も忘れずに。例え上手く踊れなくても、いまひとつだったとしても、挨拶はきっちりと。

こうしたパーティーで、悔しい思い・せつない思いをされて、心折れてダンスをやめられる方もいれば、今に見ていろ!と、リベンジを誓い、練習に励み飛躍的にうまくなる方、新たに教室に通われる方、個人レッスンに切り替える方、ぜんぜん気にせず、「ま、こんなもんでしょ」と達観されている方、さまざまです。

パーティーに行ったことが、あらたなモチベーション喚起につながるのはよきことだと思いますが、中には整いかけていた姿勢やステップが、我流で通じるパーティーのダンスで崩れてしまう方もいます。(どこでそんなクセのある荒業を習得してきたんですか…と、インストライター陣が頭を抱えることも)そんなときは「固まるまで、しばらくパーティー禁止です!」と、申し上げることもあります(笑)。

自由だから楽しい、自由だからアナーキーなトラブルも起こるのがパーティーです。
でも、ジルバやルンバ、ブルースが踊れるようになったら、ぜひおしゃれをしてパーティーに参加してみてください。そこは社交ダンスの肝がぎゅうっと濃縮された空間です。いろいろな方と踊ることで自分の課題も長所も見えてきます。

ps.
最近では「ダンスパブ」なんていうカラオケが歌えてダンスが踊れるパブが出てきました。まさに「飲んで、歌って、踊れる」という大人ならではの社交場がにわかにディープに展開中。
社交ダンスが踊れると、年を重ねるほどにお楽しみの幅が確実に広がっていく気がします。「飲んで歌って踊れる」場所なら、飲むだけより、飲んで歌うだけより、飲んで歌って踊れる人のほうが、人生、断然お得だと思うので。

44.パーティーに行ってみよう! 1/2

ぱらりとダンス専門誌をめくると1/3ぐらいは「ダンスパーティーの開催情報」だったりする。しかも小さな字でぎっちりと書き込まれており、その数の多さにダンス業界ってバブル並みに盛り上がっているんじゃないかと思わず勘違いさせられるほど。(もちろんSNSでも同様もしくはそれ以上)。
それくらい「パーティー」の需要は多い。
情報ガイドを読んでみると、一回500円~1500円程度の参加費で、場所は市民ホールなどのパブリックなところから、貸しホール、ダンスホールなど、パーティー会場は様々。
ドレスコードも普段着でOKから準正装まで、いろいろありますが、比較的気軽で自由。
プレゼントが付いていたり、抽選会があったり、飲み放題お茶菓子付きなんていうのもあり。
「歓」マークは「お一人様大歓迎」という意味で、「リボン」マークはアテンドが待機してますよの意味。(注・パーティーの主催者側が用意したダンスアテンドと呼ばれる人が、踊れてない人やあぶれている人に目を光らせ救済してくれる。胸にリボンやバラをつけているので、リボンさん、バラさんとも呼ばれる)
と、いたれりつくせりで、パーティーはやっぱり楽しいものです。

パーティーダンスと言われる、ジルバやブルースなどのステップが踏めれば踊りは最低限クリア。あとは度胸とマナーさえあれば誰でも参加できます。社交ダンスをやっている方のお楽しみのひとつであり、またこういうパーティーで腕を磨く方も多いのです。

しかし、このパーティーが楽しくてせつなくて面白い。
うちの教室でも毎年パーティーを開催しますが、基本的に生徒さん同士顔見知りの方が多く、知らない方でも誰とでも積極的に踊ろう!というのが、コンセプトですので、トラブルはほとんどありません。もしあるとするならば「もっとたくさん踊りたいんですけど、先生!」ぐらいでしょうか(笑)。
しかし、教室主催ではなく、一般的なパーティーでは、
①知らない人が多い(単身で乗り込めば全員知らない人ばかり)
②ダンスのレベルは様々(猛者から初心者までの群雄割拠)
③布陣は圧倒的多数の女性陣(女性が男性より多い)
こういう環境というか空気の中で、踊ることになります。
そこで楽しく踊るためには「ダンスが上手けりゃそれで文句はないでしょ」ではダメなのです。ダンスパーティーは会場にいるみんなが時間や音楽や場を共有し楽しむもの。そのためには「思いやり」という、マナーが絶対に必要です。(小学校の道徳の時間みたいになっちゃってますが)そこで、パーティーで楽しく踊るための作法を挙げてみようと思います。

43.「触れる」ことの壁 2/2

異性との接触の懸念というのは、年配の方なら男の沽券や日本男児たるもの的なプライドもあるのでしょうが、はっきり言えば恥ずかしい、もっと言えば人様や相手にどう思われるか?という恐怖でしょう。「スケベなやつ、キモいやつだと思われたくない」という恐怖。
企業に勤める友人に聞いた話ですが「男性上司から女性部下への“握手しよう”は、セクハラになることもあるので注意するように言われた」そうです。
両手でぎゅうっと3秒以上?握ったり、片手で握手しながらもう一方の手で相手の手の甲をさわさわと触ったりしたら即刻アウトだとか。「だから握手しなきゃいけないときは握らないようにしてるのよ、俺」(おいおーい、握る手と書いて握手じゃないの?)そんなご時世ですので、そこにトラブルの恐怖も加わり、「男子、危うきに近寄らず」と、ますます腰は引けていくばかり。
しかし、ダンスを始められたのなら、えいっと少しばかり勇気を振り絞って「相手に爽やかに触れる」ことに慣れてください。
社交ダンスにおける「触れる」は、犬や猫をよしよしと慰撫し愛でることではなく、「話す」「聞く」「サポートする」という行為の源にあるものだと僕は思っています。
感覚をフルに使って相手に伝える。
相手が伝えようとするものを汲み取る行為のこと。
最初は機械的で結構です。
「えー、①左手で相手の右手を取り、②右手は相手の鎖骨のあたりを手の平で…。③肘は常に張って…」と、自分も相手も無機質なモノになって、形を決めてはめ込んでいく作業で大丈夫。
しょせん生身の人間同士ですから、どんなにメタリックに接していても相手の体温や筋肉の動き、息、表情、汗…みな伝わってきます。「嬉しい」「楽しい」「しんどい」「つまらない」「疲れた」「気持ちいい」「緊張してる」…体が発するその人の本音が聞こえてきます。これって「なんとなく空気を読む」どころの騒ぎじゃありません。
「体で相手を読む」んですから。
頭(思考や言葉)ではなく、自分の体(感性、感覚)を信じて、人と繋がってみてください。
きっと相手の気持ちも自分の気持ちも痛いほどにわかるようになります。頭(思考)がジャッジして出した答えは偽者で、体が出す「応え」が本物です。


まだ多くの知識や体験を持たない幼い子どもたちなら、社交ダンスは単純に踊る喜びのほかにも、相手を体で読み聞くという強力なツールを手に入れ、人の気持ちに寄り添うことができる真のコミュニケーションを学ぶでしょう。
知識も見聞も十分に蓄えたシニア世代には、社交ダンスはその蓄えたものが通用しない場になるでしょう。
しかし、「わからない」という、とまどいやドキドキはときめきに転化するものです。社交ダンスをされているシニアの方がみなさん若々しいのは、常にときめいているから。
「わからないものをわかろうと努力」しているからです。
わからないステップにわくわくし、わからない相手に触れて踊るためには、枯れたおじさんやおばさんではいられません。
身だしなみに気を配り、体をいたわり、相手を思いやる。
レディであろう、ジェントルマンであろう、素敵な人であろうと具体的なアクションを起こすようになります。

僕は「触れることは壁」といいましたが、でもそれがペアダンスの艶っぽいところでもあり、その艶を爽やかに踊ることが社交ダンスのエレガンスです。
他のダンスにはない快楽という色と艶と洗練された優美さ。
だからこそ年齢に応じた味わいも出るというもの。
「あなたを知りたい」と、潔く、謙虚に、屈託なく「相手に触れる」ことは、「相手の“心”に触れる」ことだと思うのです。

42.「触れる」ことの壁 1/2

手をとる、手を握る、手をつなぐ。
社交ダンスの最初にして最大の壁です。
愛情や友情や親愛の情をハグやキスで示す接触文化を持たない日本人にとって、他人に(特に異性に)「触れる」ことは、ご法度に近い感覚。
我々は「阿吽の呼吸」で、「目は口ほどにものを言い」、そもそも「野暮なことは言いっこなし」という、言葉すら交わさず相手の気持ちを汲むべし、察すべし、というシャイでエスパーな民。
もはや「空気が読める」という能力はコミュニケーションにおいて不可欠なスキルのひとつになっています。
しかし、ダンスは肉体というリアルが起こす非言語のコミュニケーション。
体がしゃべらなくてなりません。

社交ダンスは異性の手を取り、背中に触れ、おへその近くでコンタクトする踊りです。
当然、「ふたりの距離が離れていると踊りづらく、ふたりの体が近ければ近いほど踊りやすい」(あくまでスタンダードの話)というのは、自明の理。
体がしっかりコンタクトできていれば、ふたりでひとつの軸ができるので入れ替わりがスムーズになり、当然スピード感やキレも(コクも)出ます。

生徒さんには手をとることに慣れてきたところで、下半身のコンタクトを指導しますが、ほとんどの男性の腰はひけまくり、たいていの女性はたじろぎます。
「え、こんなにくっつくの?」と。
くっつくんです、ぴたり、と。
そこが肝心要の軸です。
社交ダンスは肉体の触れ合う面積が広いほうが思いも表現も伝わりやすく、体を遠ざけたまま見つめ合っていても何も始まりません(柔道の立ち合いや組み手じゃないので)。

過去に若い男性タレントさんにダンスを指導する機会がありましたが、やはり最大の壁は「相手に触れる」ことでした。
女性の手は取れるにしても、背中に回した手が相手の背中に触れられない。
よく見ると背中から手がわずかに浮いている? エアになっているんですね。
「エアホールドなのっ!? 逆に難しいでしょ、その技…」と思うんですが。
これって、車のハンドルに触れず、ぐるぐる回しているフリだけでは車は動きませんよ…というごくごく当たり前なこと。(ま、近い将来、ハンドルに触れずとも勝手に走ってくれる自動運転の車が出るみたいですが)
エアは"ふり"です。
「見た"ふり"、聞いた"ふり"、知ってる"ふり"、やった"ふり"」の"ふり"。
よくできたバーチャルというパフォーマンスです。
ダンスは肉体を使ったリアルですから、ふりでは踊れない。
なにも伝えられないし、なにも伝わりません。

41.ペアって大変!「男の事情と女の感情」 3/3

それでは、ペアはどうやって立ち直っていくかというと、やはりダンスを始めた原点に立ち帰ることだと思うのです。
言い古され手垢のつきまくった精神論かもしれませんが、楽しくて楽しくて仕方なかったあのころに帰れるか?
「わからないものをわかろうとする」ことが、ときめきだったあのころに戻れるか?
ケンカしながらも破綻せずに続いているペアは、この努力や苦労や困難は「そうそう、踊る喜びのためにあったんだよね」と、何度も性懲りもなく、スタート地点に戻ってこられるふたりだと思うのです。

女性は
「男性の技術をインストラクターや上手い人と比べないこと
(比べちゃっても口には出さぬこと。墓場まで持っていけとはいいません。パーティーやレッスンの帰りにお茶でもしながら、お仲間にぶちまけてください)」
「ダンス界における男女比をときどき思い出して、“男子は絶滅危惧種、みんなで保護“と唱えて、生暖かく見守ってやろうと思うこと」

男性は
「自分のリードに上手く反応しないパートナーにイラつかないこと」
「相手を大切に思うこと」
「そして女性より数倍練習に励むこと」。

僕ももう一度肝に銘じて、明日もこれからもずっと踊ろう、と思います。

40.ペアって大変!「男の事情と女の感情」 2/3

互いに真剣だからこそ摩擦も多く、ケンカにいたれば猛烈です。
前出のコラム、映画『Shall we ダンス?』考察⑤─気持ち悪いってどういうことよ?─でも書きましたが、
一期一会のダンスパーティーならいざ知らず、ペアともなればささいな「気持ち悪さ」を見過ごすわけにはいきません。
異る個性と性を持つふたりが、互いのポテンシャルをぶちまけ本気で踊れば、ぎしぎしかちゃがちゃとぶつかり合わないわけがない。

女は男の優柔不断もしくは強引なリードにざわつきイラつきます。
自分の思い通りには動けないある種コントロールされる側の女性にとって、下手なリードはもどかしく、じれったく、どうにも気持ちが悪い。
「あなたのリードが伝わってこない。私はどう動けばいいの?」と、キレます。
逆に上手いリードで踊ると、本当に身も心も軽く、多幸感がハンパじゃないそうです。
なので、ついつい「前の人(パートナー)のほうがよかった。先生はこうだった、○○さんはああだった」
という情け容赦なく「前の男比べ(リードという技術比べ)」を口にし、言われた男は、大いに深―く傷つきます。
そして「キミこそ、なんで的確に動けないの? おんぶにだっこじゃこっちだって限界がある!」と、戦いの幕は切って落とされ、苛烈な舌戦へ…(たいてい女性が勝ちますけど)。

この、ありがちなクラッシュは競技やプロを目指す一部のダンサーに起こる「いざこざ」ではなく、アットホームな教室や自由なサークルや気軽なパーティーのホールでも大なり小なりに多様な感情のもつれは起こりうること(ダンスと名が付き、男と女がいるところならどこでも勃発)。

社交ダンスは男の甲斐性が必要な競技です。
よく「ダンスは男性のリードにかかっている、女性はただ素直についていくだけでいい」と、古きよき時代の日本の夫婦心得的志向があるといわれていますが、男性をリーダーと呼び、女性をフォロー、パートナーと呼ぶあたりも、そんなふうにいわれるゆえんのひとつでしょう。

男性のスキルやポテンシャルがダンスのクオリティに大きく影響することはいなめませんが、ぶっちゃけ、男性はやることが多いんです。
ステップをする→リード(伝える)する→次のステップを用意する→ぶつからないように周囲を見て動く…。
車の運転じゃないですが、素早く的確な認知判断操作(誘導)が常に求められています。
競技会やデモ用に高度なステップを死ぬほど練習しても、リーダーが瞬間の判断を誤れば、恐ろしく平凡なステップしか披露できないこともあり、そんなときの女性の落胆と怒りはよーくわかる…痛いほどわかる。
でも男だって泣きたくなるくらい失望しているんです。

パーティーやサークルなどで、下手な男性のリードに女性がイラっとされるのもわかりますが、男性への教育的指導は、そのとき男性に技術的かつ精神的な余裕があるかどうかを見極めてからにしてほしいものです。
ダンス界における「男性」はある意味、絶滅危惧種に近い存在…(笑)。
ぜひ女性の温かい目、長い目でその成長を見守ってあげて欲しいわけです(なんか力説)。
逆に男性は自分のリードに反応しない女性に「なんでできないんだ!」と、癇癪を起こしている光景をときどきみかけますが、その未熟な俺さまっぷりは男の器量が一発で露呈してしまう瞬間です。
一昔前なら、「すみません…」と、男の罵声に耐え忍ぶ女性もいたかもしれませんが、それこそそんな女性はもはや絶滅…。
今や「だったら、伝わるようにリードしなさいよ!」と女性は怒り、星一徹ばりのちゃぶ台返しもありです(怖)。
競技会の裏舞台やデモンストレーションの楽屋裏では、ものすごくスペクタクルで空気も凍る壮絶な現場をよく目撃しました。

次のコラムでは男女が立ち直るための秘訣をお伝えします。

39.ペアって大変!「男の事情と女の感情」 1/3

昨今の日本の結婚事情ですが、
生涯未婚率男性が20.14%、女性は10.61%(国立社会保障・人口問題研究所「人口統計資料集(2014年)」より)。
これって多いのか少ないのか数字だけ見ても、よくわかりませんが、
生涯だれとも一度も結婚することなく独身を通す人が年々増えていることは確か。
女性に限っていえば、
・アラフォーと呼ばれる人の3人から4人にひとりは未婚
・40才で、5年後に結婚する人は1%未満
だとか。(なんだかセンセーショナルに見せる数字のマジックもありそうですが)
男子にあてはめるともっとシリアスな数字になるかと思われます。
未婚や晩婚化の理由は経済的な問題から、「人と暮らすのがめんどうくさい」、「ひとりで十分楽しい」「結婚はリスキー」…など様々ですが、結婚が困難になっていることは確かなようです。

その結婚より難しいと言われているのが、社交ダンス界におけるペア探し。
「結婚相手をさがすより大変」というのが定説です。
こちらも理由は様々ですが、「男性が圧倒的に少ない」という数の原理も大きな理由のひとつでしょう。
運よくペアが見つかったところで継続させるのが「結婚より大変なのはなぜか?」といえば、ダンスは愛だけじゃ踊れないから、でしょう。
恋愛関係なら「愛情」が多くの欠損や不足、不安を補いあるいは凌駕し、結婚へとゴールする可能性がありますが、ダンスのペアに必要なものは、ダンスの力量、ダンスの相性(踊りやすい)、そしてやはり生身の人間ですから人としての相性がすべてです。
キャリア、容姿の他にも条件的なことでいえば意外に大事になってくるのが、住んでいる場所や仕事の定休日など。
「練習時間をとる」こともペアにとって大きな課題なので、遠距離恋愛はアリかもしれませんが、遠距離ペアはほぼムリだと思います。

そして最後のところは「性格」が合うか合わないか。
結局はここにたどりつきます。若くて美人(イケメン)でダンスが上手くて休みの日もいっしょで…と条件がそろっても、最後は性格です。
条件だけではクリアできないダンスのペア選びは、結婚相手選びよりずっとウエットでシビアかもしれません。
阿吽の何か。しっくりくる何か。踊っていて心地いい何か。
その言葉にはできない「何か」を求めて自分のダンスの片割れを探すのがペア探しです。

次ページで男女のいざこざを徹底分析します。

38.映画『Shall we ダンス?』考察⑥─姿勢矯正ギプス?─ 3/3

自分ではそんなに「悪くない」と思っていらっしゃる方が多いんですが、ほとんどの方がいわゆる「猫背」です。骨盤が後傾し、背中が丸まり、首が前に突き出る。
意外に若い男性に多く、やはりスマホやパソコン世代の特徴でもあるのかな、と。

ちょっと前に、『シュウイチ』という日本テレビ系の番組の撮影でジャニーズのタレントさんが、体験取材にこられたことがあったんですが、ステップを覚えるのは素晴らしく早く、リズム感もバッチリ。
ただし、ワルツの簡単なステップが踊れないんです。

原因は3つあって、
一つはなかなか女性の背中を触れない。(踊った相手が教室のスタッフで、本番バリバリの背中の空いたドレスだったせいもありますが、、、)
二つ目は三拍子の曲を踊ったことがない。
そして三つ目が猫背。(彼らが踊るヒップホップやジャズ系のダンスとは姿勢のポジションや重心がそもそも違うので仕方ないのですが)

というわけで、そのタレントさんにも姿勢矯正ギプスを着用してもらったのですが「マジっすか、これ、きっつー」と言っていました。

僕がダンスを始めたころは、まだこんな便利な補助器具もなくて、背中に長いものさしを入れて踊ったり、頭にみかんや本を乗せて、落ちないようにステップを踏んだり…そんな古式ゆかしい練習をしていた時代です。

たった3分間を美しく優雅に踊るために、その何百倍もの時間を姿勢のために費やさないと身につかないのです。
努力と意識がそれを作ります。

逆に言えば、美しい姿勢であれば、ベーシックを踊っていても上級者に見えるほど。

ステップももちろん大事ですが、社交ダンスの基礎中の基礎であり、百戦錬磨のプロになっても何度も立ち返り、繰り返し繰り返しカラダに叩き込み、一生かけて追求するのが「美しい姿勢」です。

そして身につけた美しい姿勢をふだんの生活の中で、ちょっと心がけてみる、意識してみる。

歩く、立つ、座る、会釈する…姿勢というカラダの持つ「美しさ」は圧倒的です。

7才若く見えるなんて、ちゃんと姿勢を正せばあっという間。
教室の生徒さんなんて15歳くらいサバよんでも大丈夫な方多数。

姿勢がよくなれば、内臓が圧迫から解放されて体の巡りもよくなり、健康にも効果絶大。
アンチエイジング効果は高価な美容液やサプリメントより確実にあると思うのです。

37.映画『Shall we ダンス?』考察⑥─姿勢矯正ギプス?─ 2/3

映画でも杉山(役所広司)が「ホールド矯正ギプス」を使って練習するシーンがあり、ちょっとした話題になりました。
ダンスをやらない方からは「大リーグボール養成ギプスって本当にあるんですか?」驚かれたり、ひかれたりしますが、あるんです。
ただし「大リーグボール養成ギプス」は『巨人の星』の星飛雄馬ですから、大幅に間違ってインプットされてますけどね。


ダンスのはこれです。「ホールド矯正ギプス」

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こんなのもあります。「ダンスホールド矯正器」

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こんなのもあったりします。「ダンス姿勢矯正器」

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あるんですね、本当に。

「加藤教室に行ったら、もれなく養成ギプスをがしがしハメられちゃうんですか?」
と、興味と恐怖のある方がいらっしゃるようですが、時と場合と人によります。

星一徹じゃないんで、無理やり強制的につけることは決してなく(あー、ちょっとはあるかな)
社交ダンスを踊るために必要な「正しい姿勢」「美しい姿勢」で踊るって、こんな感じです。
と、体感していただくためにつけていただくことがあります。

姿勢はエアですから(エアギターとかエアドラムとかのエアです)、ちょっと気をぬくと楽なポジションに乱れていくのが自然の理。
しかしダンスは動きながら、踊りながら姿勢キープをしないと意味はないので、踊りながら姿勢を補助するものをつけて体感していただく。
「正解の鋳型」に一度ハマってもらって、カラダで覚えてもらう(あ、なんかこの言い方怖いですね…)。

次ページではテレビ取材秘話と姿勢のもたらす効能を教えます。

36.映画『Shall we ダンス?』考察⑥─姿勢矯正ギプス?─ 1/3

社交ダンスの要は「美しい姿勢」です。

どれだけ複雑なステップが踏めようと、どれだけ息のあったペアダンスが踊れようと、
「美しい姿勢」がなければ意味がないと言いきってもいいんじゃないでしょうか。

では社交ダンス(スタンダード種目)における美しい姿勢とは?

・上体を起こして背筋をピンとはり、
・頭部(頚部)は、頭のてっぺんを天井から出ている糸に引っぱられているように上へ。
・しかしアゴは上げ過ぎない。
・肩を上げずに胸骨を広げ、
・肋骨は締める(胃を引き上げてお腹をへこます。メタボ検診で、必死にお腹をへこませて腹周りを計測に臨む感じ)。
・腕は肩関節から動かし、肘は肩の位置をキープする。
スタンダード種目は男性が女性をホールドしますので、女性を支えなくてはいけません。
肘の位置は特に大事で、一瞬も落ちることなく高い位置でのキープは絶対です。
(まだまだありますが、ざっと言うとこんなところです)

そして時間にして最低でも3分(1曲分)は、この状態を死守する!
これが社交ダンスのベースの姿勢です。

3分ならなんとか乗りきれる? 
いやいやいやいやいやいや…想像以上の試練です。

「美しい姿勢で3分踊りきる」のは、初心者にとっては相当ハードな重労働で、思っている以上のストイックさが必要です。

そんな「正しいポジション」「美しい姿勢」をなるべくわかりやすく説明しようとしても口頭では、やはり限界があります。

そこで登場するのが「姿勢矯正器」です。

35.映画『Shall we ダンス?』考察⑤─気持ち悪いってどういうことよ?─ 3/3

ここで、突然ですが、どこの教室やパーティー会場にもいる、「ちょっと残念な人たち」を4つのタイプに分類してみました。(もちろん自戒の気持ちもこめております!)。
「残念な人」というのは「気持ちのいいダンスが踊れない人」だということが判明(もちろん独断ですが)。
お心あたりありませんか?

①上から目線の教え魔型
あーだ、こーだと教えたがる人は意外に多いもの。一見、親切。しかし度重なるドヤ顔での上から目線の指導は、ボディブローのようにじわじわくるものがある。教えたがる人に限ってたいした「力量」がないのもこのタイプの特徴。

②唯我独尊ナルシスト型 
自分ひとりが楽しく美しく踊れればそれでよし!がモットー。相手はパートナーというより引き立て役であり、単なる小道具扱い。④型の人と組むと案外ぴたりとハマるかもしれないが、ペアで踊る甲斐がないというもの。そこそこ実力のある人が陥りやすいひとり相撲ダンス。ダニー青木がこの典型。

③いちいちうるさい小姑型 
教え魔タイプと似ているが、こちらは指導ではなく文句、クレーム。「あなたがこんなことするから私は踊れない」、「こんなこともできないから私まで下手にみえる」と、いちいちクレームをつける。じゃ自分はできているかというと、できていなかったりする不条理…。高橋豊子(渡辺えり子)がこのタイプ。

④あなたまかせの依存型 
すべて相手のリードにおまかせの「おんぶに抱っこでよろしくお願いします」タイプ。過剰な謙遜からくるのか、ただの甘えか依存なのか。自己主張のないマイルドな人に見えるが、責任もやる気もないとも見える。女性に多い。

あの人はどのタイプ?と他人を分析してささやかな溜飲を下げるのも一興ですが、私はどのタイプにカテゴライスされるのか?自分は人に対してどのようにふるまっているのか?
そんなこともときどき考えると、自分のダンスはぐんと「気持ちのいい踊り」にステップアップしていくのではないのでしょうか。(さらなる自戒の気持ちを込めまくっております!)

34.映画『Shall we ダンス?』考察⑤─気持ち悪いってどういうことよ?─ 2/3

ダンスはふたりでひとつのものを作り上げていく「共同作業」です。
しかも相手は赤の他人。
ふたりの身体リズムがシンクロできないと、シンプルなステップでさえ、ぶつかったり、足を踏んだり、コケたり…と、思ったように踊れずイライラは募ります。
「動きたいのに動けない」「止まりたいのに止まれない」不満、「力でねじ伏せるようなリード」への不信、「優柔不断なリード」への不安。
これみんな「気持ち悪いんです、あなたの踊り」になるんだと思います。

「容姿の良し悪しはあったとしても、なぜか不思議と上手い人はイケメンに見えてくる」と、うちの相方(ダンスパートナー兼奥さん)を始め多くの女性がそう言います。
「ほんとー?」と言いたくなりますが、どうやら冗談ではないらしく、「リードの巧みな男性は自分(女性)のダンスを美しくみせてくれる人。つかの間とはいえ踊っている間は、本気で素敵だと感じるものです」。
これって踊る女性の本音であり、ペアダンスの真理かもしれません。

社交ダンスの場合、その組のダンスのポテンシャルは「男性のリードと力量が9割」ともいわれる、なかなかの亭主関白というか男性主導型の競技ですが、実は陰に日向にパートナーを支える献身的な女性のような精神と、大丈夫、俺についてきて!というリーダーシップを併せ持つ、(女性にとって)「都合のいい男」がダンス巧者。
女性を心地よく踊らせる。女性のダンスを美しくみせる。
そんな気持ちがあれば、きっと「あなたの踊り、気持ちいいんです」
(あなたが女性であれば、男性のリードに心地よく反応すること。従順にみせておいて、実はしっかりと自立した「したたかな女」がダンス勝者)

ダンスの上達は「気持ちいい踊り」に欠かせない重要なベースですが、僕はペアダンスにおける「気持ちよさ」を生み出すものは、最終的には「その人となり」だと思っています。
男女ともに「包容力」「余裕」「誠実さ」「思いやり」があれば、誰と組んだって、レベルに差があったって、初心者だって、パーティーだって、競技会だって、楽しく踊れるはず。そして「あなたの踊り、気持ち悪いんです」と、言われることはないはずです。

33.映画『Shall we ダンス?』考察⑤─気持ち悪いってどういうことよ?─ 1/3

映画の中で、競技会を目指すダニー青木(竹中直人)が、パートナー候補の若い女性とお手合わせで踊った後に、こう言い放たれる場面があります。

「気持ち悪いんです、青木さんの踊り」

男子必殺の一撃に、もちろん関係はあっという間に破綻。がくりとうなだれ、底なしに落ち込んでいく青木…。
「こーもバッサリと言うか…怖いな、社交ダンスの世界(いや女子)って」と、他人事ながらチクリと傷ついた男性も多かったのではないでしょうか。
でももう一度よく観てください。
この若い女性のセリフを割愛せずに言うと、
「青木さん、普通にお話しているときはそうでもないんですけど…。気持ち悪いんです。気持ち悪いんです、青木さんの踊り」
これって青木の容姿や言動が「気持ち悪い」と言われているわけではなく(多少はあるかもしれませんが)、強引でひとりよがりな「踊り方」に耐え難い何かがあり、「気持ち悪い」と言われているんです。
意訳すると、いわゆる「キモい人」ではなく、
「あなたの踊りでは私は気持ちよく踊れない」ということ。
英語で言うなら、
Disgusting=気持ち悪い。オエってなる。ではなく、
(HeまたはHis dance)doesn’t go well with(meまたはmy dance).=なんかしっくりこない。が正解。 

ダンスは生身の人間同士が「接触」を通じて肌で感じるもの。
どうしても感覚的になります。
「快」「不快」の理由は具体的で論理的なものではなく、アバウトで感情的な表現になるのは仕方ないことかもしれません。
まして女性は正直で直感的で辛辣ですので、「気持ちよく踊れない」感覚が、「気持ち悪い」という身も蓋もない言葉になるのではないか、と。

32.『Shall weダンス?』考察④─ダニー青木は過剰な人か?─2/2

「映画の竹中直人はオーバーアクションですよね、いくらなんでも」
「ダニー青木がやり過ぎで笑える」と、みなさんおっしゃいますが、僕らからみたら、いやぜんぜん普通にいますけど、というかしみじみリアルですけど、と、申し上げたい。あのレベルの「濃度」の人はたくさんいます。

ダンスは肩書きや社会・家庭での役割をわきにひょいと置き、ひとりの男や女に戻れる時間をくれるもの。そのときだけは(『テルマエロマエ』言うところの)「平たい顔の地味な大和の民族」でも「マッチョでセクシーな男」や「小悪魔でエロスを感じさせる女」を演じられる。
照れやためらいなんて必要ないんですね。
だってラテン種目はそういう踊りだから、そういうステップだから。演じることがそのままダンスになるわけです。
「官能」や「我を忘れる陶酔感」に抵抗を感じる日本人にとって、ラテン種目は気恥ずかしさが先にたち、表現しづらいダンスですが、別の自分になれる快感や開放感は格別。
実は奥ゆかしくシャイで人見知りな日本人は、世界でも1位2位を争うラテン音楽やラテンダンスが大好きな民族といわれています。
穏やかな大和の民の中には、ラテン魂が眠っているのかもしれません。
ちなみに僕はスタンダード種目を得意としていますが、どうやら吠えているみたいです…。「加藤先生、ワルツ指導してるときでもシャーッ!とかハァッとか、吠えますよね」と、言われました。
あれはもう、卓球の愛ちゃんの「サー!」と同じ類の「気合」というもの。
情熱にはスタンダードもラテンも関係ないですから。

僕らは「社会」や「大人」や「常識」といった、しんどい戦闘服を着て日々生きていますが、生身の自分を解き放ち、自由に息づかせる方法をあまり知りません。
映画の中で、青木が杉山にこんなふうにつぶやくシーンがあります。

「会社が終わって、カツラ被って衣装着てドニー・バーンズになるんです。あ、ドニー・バーンズってラテンの世界チャピオンなんですけど。それで音楽に乗って体を動かしていると本当に楽しいっていうか、解放っていうか。ほら僕会社で居場所なかったりするから」
さえないサラリーマンが日々の鬱屈をダンスで晴らす。
そんなふうにも聞こえますが、僕にはラテンダンスの真髄がここにあるように思われるんです。
ラテンにしろ、スタンダードにしろ、ダンスは仮の姿の自分が作るもうひとつの人生や青春です。
新たな自分を知る驚愕と勝ち負けのない喜びがつまった、つかの間の非日常を存分に享受する。
濃くて、熱くるしくて、浮くほど目立ってこそ、ラテン!
ということで、総論。
「ダニー青木は決して過剰な人ではない(ダンス界においては)」

31.『Shall weダンス?』考察④─ダニー青木は過剰な人か?─1/2

映画『Shall we…』といえば、主役の役所広司さんではなく、竹中直人演じる青木富夫(ダニー青木)の濃厚な容姿と、こってりと熱いラテンなダンスが印象に残った人が多いようです。
特に社交ダンスをやらない方は、ほぼ「『Shall we~』って竹中さんが主役だったよね?派」です。
それほどダニー青木は濃く熱く、見るものに強烈なインパクトを与えたのでしょう。

社交ダンスはスタンダード(モダン)とラテンに分かれていて、それぞれに5種目、計10種目(テンダンス)のダンスが公式種目として認められています。
(競技のための公式10種目以外にも、パーティダンスと呼ばれるブルースやジルバやマンボやサルサなどもあります)
10ダンスすべてを踊れるように目指すもよし、10ダンスの中で好きなダンスを突き詰めていくもよし、パーティーダンスをさらりとたしなみ程度に覚えるもよし。
プロもアマチュアもダンスに対するアプローチは様々です。
しかし、競技レベルのダンスを目指す場合、スタンダード派とラテン派に分かれていく傾向があります。
10種目すべてで競うには相当なエネルギー(無尽の体力!)を必要としますし、また優雅でヨーロピアンテイストなスタンダードと、情熱的で躍動感ほとばしるラテンでは個性(ダンスの様式)がまったく違います。

ワルツに代表されるスタンダードは、男女が半身を合わせ1曲くっついたまま踊るために終始相手を意識し、協調(ハーモニー)が大事、簡単に言ってしまえば、「相手に合わせて踊る」ことが強いられます。
そして表現として何より求められるのは、エレガンス、優美さ。

一方ラテン種目はパートナーとの間に一定の距離があり、ソロで踊る時間も長く、踊り手の個性的なパフォーマンスが求められます。
ラテン男、ラテン女になりきり、その情熱と艶と粋を思いきり自己アピールできる曲種です。
ダンスをやる人は「自分好き」な人が多いわけですけど、中でも「俺好き」、「私好き」が多いのがラテン種目だと思います。
スパイシーで過度な表情。
大きく胸をはだけたセクシーな衣装。
浅黒い肌(焼いてます。もしくは濃いファンデーションを塗ってます)
時々、ホーっとかフーっとか吠えたりもします。
ダニー青木はこのラテン種目一筋の男。
そんな派手で濃い目の自己表現で、情熱的なラテンな男になりきって踊るのが当たり前という種目。

30.映画『Shall weダンス?』考察③─不純な動機は純粋です─ 2/2

映画の中では、居酒屋で青木(竹中直人)が杉山にポロリとこぼすシーンがあります。
「社交ダンスをやっているなんて知られたら、変態扱いされかねませんからね。気をつけています。ただでさえいい年してひとりもんで、女目当てだって思われるの当たり前ですから」
くー、不憫過ぎる…。どんだけ偏見なんだ、世間様。

映画が公開されたのは1996年。
今から20年前はダンスに対する世間の風当たりもまだまだ強く、「変態」は言い過ぎだと思いますが、不純?な動機を「それもぜんぜんありだよね」と許す余裕や寛容さはなかったのでしょう。男はつらいなあ。

僕の場合、ダンスを始めた動機はずばりご飯とちょっと気になる先輩目当てでした。
大学のダンス部に所属していた気になる先輩に、「来たらごはんをおごる」と言われ、ホイホイと付いていったのがきっかけです。
ゴキブリがごきぶりホイホイにかかるより簡単だった気がします…。
その後も飯と先輩につられて通い、気がつけばどっぷりダンス漬け。
絵に描いたような単純ホイホイな男子学生でしたが、しかし、きれいな先輩とおいしいご飯…これを拒める男子大学生がいたらお目にかかりたいもんです(いるわけがない!)。
少々、不埒(ふらち)で軟派な動機だったかもしれませんが、あっという間にダンスの楽しさに取り込まれた僕は、きれいな先輩も飯も、もーそれどころではなくなり、ダンスはその後の人生を大きく変えていきました。
(まさか飯につられて始めたダンスで「飯を食っていく」ことになろうとは…)
杉山もまた、当初の目的であった「美人インストラクターと踊る」という野望めいたものは、いつしかなくなり、純粋に踊る楽しさにのめり込んでいきます。

結局、動機なんてなんでもいいんです。
どうせ、どんな人もダンスそのものの魅力にハマっていくのは時間の問題ですから。

とはいえ、人間いくつになっても男と女であることには変わりなく、異性とのダンスはスポーツとしての爽快感とともに、胸踊る一面があることも否定できません。
むしろ不純な動機や子どものような未熟な好奇心が、未知なるものへの取り組みや新しい世界へと一歩踏み出す力になります。
では、その動機を発動させて、まったりとぬるい平穏無事な日々に楽しい波乱を起こすのはいつか?と、いえば、今です!!
「いつかやる」「いつか会う」「いつか行きたい」のいつかは、ほとんどやってきません。ダンスに限らずなにもかもそうです。

片付けもそうですよね。
「いつか着るかもしれない」、「いつか使うかもしれない」ものは、ほとんど着ないし、使わない。
だから絶対に片付かない。
いつか会いたかった人は明日死んでしまうかもしれなし、
いつか行きたかった場所はその姿を変えてしまうかもしれないし、
いつかやろうと思っていたダンスも、膝や腰が動かなくなってできなくなるかもしれない。
「動機」をなくした「やりたい」はいつしかエネルギーを失って「ま、いっか」となる。
こーして「いつものやらない」人生になっちゃうわけです。
不純だろうとなんだろうと、「好奇心」の動機は「いつかやる」の「いつか」を「今やる」に変えてくれる力があります。
胸をはって人様に言える夢や、清く正しい目標になるのを待っていたり、そんな立派なものに加工しようとしないで、とにかく「今」やってみる。

自分を振るい立たせてくれるものなら、どんな動機でも素晴らしいと思いませんか?

29.映画『Shall weダンス?』考察③─不純な動機は純粋です─ 1/2

社交ダンスを始めるきっかけは人それぞれで、人の数だけ思惑や事情や魂胆があります。

若い人だと男女を問わず、
「テレビで観て興味を持った」
「マンガを読んでやってみたいと思った」
大学生などは「大学で社交ダンス部のデモ(デモンストレーション)を見て感動」
が、多いようです。

一般女性の場合、そのきっかけが、
「お姫様みたいな衣装が1度着たくて」
「美と健康のため」
「ダンスが好き」
「お友だちに誘われて」
「ダンスで若返りたい」
「若い男性と踊ってときめきたい」と、あっけらかんと、実になんでもあり。

すべてが威風堂々のピュアな本音なので「お姫様な衣装」も「若い男性と…」が動機でも、そこにやましさやテレや恥ずかしさなどは微塵もないので、世間が「年甲斐もなく…」などと、つっこむ隙はない(与えない)のです。

しかし中高年男性はというと…
「フィットネス代わりに」
「運動不足解消のため」
「血糖値が高めで…」
「中性脂肪も高めで…」
「医師のススメで…」
と、9割近い方が「健康」を目的とされています。

映画でも、美しいインストラクター・舞(草刈民代)に惹かれ、教室の門を叩いた杉山(役所広司)でしたが、グループレッスン仲間から、ダンス教室入会の動機を聞かれても「運動不足解消で…」と、本音を封印。
しかし、初のグループレッスンのときに、お目当ての舞先生が教えてくれると思いきや、担当のインストラクターは熟年のたま子先生(草村礼子)と知り、「おばあちゃんでがっかりした?」なんて言われるほど、表情に出てしまう(笑)。

もちろん多くの方が実際、「健康」目的でダンスを始められているのですが、
「女性にモテたいので」
「派手な衣装を着てみたい」
「若い女性と踊ってみたい」
そんな動機も、僕はしごくまっとうだと思うのです。
確かに「美人インストラクター目当てでダンス始めます!」と、清々しいまでの下心で宣言されるのもどうかと思いますが(笑)、
いくつになっても男と女なんですから、異性とのダンスはやはり胸踊る一面もあることは否めません。
異性の目を意識し、モテる男や女でありたいと思う気持ち(よい陰謀、正しい下心(笑))を持っている方は年齢を重ねても若々しく魅力的です。
年をとるにまかせて枯れてしぼんでいくなんてもったいない。
しかし、男性の場合やはりそこには「恥ずかしさ」や「テレ」や「男の沽券(こけん)」が、まだまだあるわけです。
男の世界って女性に比べるとやはり不自由だなと思います。

28.映画『Shall we ダンス?』考察②─ダンスにハマる!(定番ダンスやるやる)

映画では、平凡なサラリーマンだった杉山(役所広司)が、ひょんなことで習い始めた社交ダンスに魅せられ、どんどんとハマっていく過程が描かれています。(ストーリーは映画『Shall we ダンス?』考察①参照)

駅のホームでステップを踏み、
会社のトイレの鏡で上体のポジションをついつい確認。
夜中の公園でシャドウ(ひとりで踊る)練習をもくもくと行い、
青木(竹中直人)は社内の廊下をくねくねルンバウォークで闊歩…。
と、自主練習に余念無し!
でも、これって社交ダンスを習っている人なら誰もがやってしまう、「あるある」ならぬ「社交ダンスやるやる」なんですね。

社交ダンスの「熱中」「傾倒」度はほかの趣味に比べると熱烈な気がします。
一度「踊る快楽」を知ってしまうと、やめられないしとまらない(あとびきタイプのスナック菓子みたいですが)。
生徒さんを見ていて「お、ギアが1段上がったな」と思うのが1曲踊れるようになった頃。
こま切れだったステップが繋がり、1曲を通して踊りきれた喜びと楽しさは格別です。
この達成感は次の種目へのモチベーションにもなります。

さらにもう1段ギアが上がるのが「発表会」や「競技会」などへの出場が決まったとき。

これは社交ダンスに限らず、どのお稽古ごともそうだと思いますが、目指すべきものや目標が明確になると、どんなにクールな人でもおっとりさんでも、俄然はりきるのが人の性分というもの。
うちの教室でもある程度ステップが踏めるようになってきたら、その方に合った目標設定をしますが、それは「楽々クリア」できるものではなく、「ちょっと難しめ」「やや高め」に設定します。
そのほうが、がんばれるし、間違いなく成長できるんです。
ブルースやジルバといわれるパーティーダンスが楽々と踊れるようになり、本格的に10種目(ワルツやタンゴやルンバ)を習い始める頃になると、お腹周りもしまり、姿勢も整いだし、カラダも気持ちもアグレッシブに変化し始めます。

こうなると、誰もが「隙あらば自主トレ」という、姑息に見えて実にアグレッシブなモードに入ります。
トイレの鏡はもちろん、窓ガラスや店のショーウィンドウなどで、ついついポジションの確認及び上体のチェックをし、だれもいない非常口の階段の踊り場やエレベーターの中などの「ちょっとした密室」を見つけようものなら、迷うことなくステップを踏みまくる。
電車の中では、つり革を軽く握ったまま、カカトを上げ下げするちょこトレ(ちょこっとトレーニング)を欠かさず、頭の中で習ったことをおさらいしているにうちに、ついついカラダが動き、明らかに「変な動きをする変な人」として、周囲から奇異な目で見られるという大変気まずい思いも経験します。

自宅での自主練習はもちろん当たり前!
タンスの角に足の小指をぶつけたり、
よろけて襖につっ込んだり、
観葉植物をなぎ倒したり、
飼ってる猫をふんだり蹴ったり、
それはそれはもうデンジャラス…。
たいてい家族から「ちょっと危ないってば」「いい加減にしなさい」と、注意勧告を受けますが、懲りません(笑)。

映画の中で青木(竹中直人)は常に社内の廊下をくねくねした腰つきで歩きますが、あれはルンバウォークといって、ラテン種目のルンバに必要な歩き方の基礎です。
つるつると滑りのいい長い廊下を見たら、だれだってやりたくなるというもの。
脊髄反射的に歩いちゃうものなんですよね。

※ちなみに、ルンバのダンスの源流をたどっていくと、奴隷だった黒人たちの踊りに行き着きます。
当時、黒人奴隷たちは足に錘(おもり)や枷(かせ)をはめられていたので、足をひきずるように歩いていたんですね。
床から足を離さず歩くと競歩にも似た腰をくねらすような独特な歩き方になります。
それがルンバウォークの原型。
ルンバは自由を奪われた人たちの、言葉にできない悲しさや苦しさの中で生まれたダンスです。
そんな歴史的な背景を知っていると、こっけいに見える青木のルンバウォークも、ちょっとせつなく感じません?


映画の後半では杉山が競技会出場のために、猛特訓を始めます。
先生に「大会まで3ケ月。週3回、仕事終わりの8時から10時まで教室で練習してください」と、言われます。
もちろんそれ以外の日は自主練習をしているはず。
「これは映画だからスポ根風にデフォルメされてるのでは」と思われる方もいますが、実際、競技会を目指す生徒さんは、これくらいの練習をされています(教室でびっちり個人レッスンするかどうかは別として)。
「ちょっと難しい」「やや高め」の目標設定が「ちょっと抜き差しならぬ問題」「やや切羽つまった問題」にレベルアップします。
どんどん複雑になってくるステップやさらなる姿勢強化…と、「楽しいだけのダンス」に「苦しさ」が生まれ、「私(僕)は、なんでこんなことができないんだろう」「○○さんはあんなに上達しているのに」と、負とも思える感情もわきあがりますが、もどかしさも自己嫌悪も嫉妬も、みな踊る力になり、さらにギアが上がっていきます。
こーなったら、いけません。
社交ダンスのワクワクから抜けられません。
飲んべいは「酒が飲めない人は人生の楽しみを半分損してる」とかいいますが、社交ダンスにハマった人々は「踊らない人は人生の楽しみを半分損してる」なんてことを本気で言い出すようになるわけです。
いい年してハマり、いい若いもんがハマり、女のくせに男のくせにハマって、「人生まるごと得する計画!」を僕はずーっと絶賛推進中です。

27.映画『Shall weダンス?』考察①社交ダンスの敷居の高さ 2/2

【映画『Shall weダンス?』あらすじ】
平凡な毎日にどこか満たされない思いでいる中年サラリーマンの杉山(役所広司)は、帰宅途中の電車の中から見えるダンス教室の窓に佇む美しいひとりの女性・舞(草刈民代)を目にする。
彼女に惹かれた杉山は迷いに迷ったあげく、そのダンス教室を訪れる。
窓辺の女性はトッププロになるべく期待されたダンサーだったが、競技会でのアクシデントで自暴自棄になっており、父親から半ば強制的にダンス教室の教師をさせられていた。
杉山は、ダンスには少し覚えのあるチビ中年の服部と糖尿病改善効果を期待するぽっちゃり男子・田中とともに男三人のグループレッスンを受けることにした。
そんなある日、杉山の会社の同僚の青木(竹中直人)が教室に現れた。
ラテン種目を情熱的に踊る青木に驚嘆…そしてすぐに意気投合する。
新しいステップ、新しい仲間たち…杉山の生活は生き生きと変化いく。
美人インストラクターの舞と踊りたいという不純な動機で始めたダンスだったが、気がつけば踊ることの楽しさにピュアにのめり込んでいた。
そして鉄火肌の熱血主婦・豊子(渡辺えり子)とペアを組んで大会へ挑戦することになり、大特訓が始まる。
舞もまた杉山たちのダンスに対する真摯な姿勢と情熱を感じ、ダンスへの純粋な気持ちを取り戻す…。

もう20年前の映画ですが、ちっとも古臭く感じないのは社交ダンスの本質や魅力、そして構造的なものが変化や劣化していないからだと思います。

しかし、その中でも大きく変わった点が1点。
それが「社交ダンスの敷居の高さ」です。

社交ダンスに対する「偏見」や「習うことへの抵抗感」は、この20年でぐっと低くなったと感じています。

映画では主人公の杉山が、意を決してダンスの見学(体験レッスン)に行くまでの葛藤が面白いのですが、そこまで人目を気にするコソコソぶりは決して過剰表現ではなかったと思います。
「日本人が社交ダンスだなんて」というセリフが映画の中でも出てくるのですが、その後に続く世間の言葉は「ちゃんちゃらおかしい」…でしょう、十中八九。
「社交ダンスなんて年寄りか物好きしかやらない」「ちゃんちゃらおかしい」そんな風潮の中、中年男子が社交ダンスを習うなんざ、どんだけ敷居が高かったことか。

しかし、この映画の大ヒットで社交ダンスは「だれもが取り組めるスポーツ」「文化教養としての趣味」と認知され、その後は、『ウリナリ芸能人社交ダンス部』(1996~2002年)などのバラエティ番組の影響で、競技スポーツとしてのダンスが若い世代へ浸透。敷居はさらにぐっと下がりました。
最近では『ボールルームへようこそ』(月刊少年マガジン)という競技ダンスを描いたマンガが流行っていて、(大学のダンス部の後輩たちの間でも、「必読」の一冊になっています)、若い世代の敷居はさらに低くなっているように感じられます。(おじさんが読んでもめちゃくちゃ面白いです!)
とはいえ、今でも「社交ダンスを習っていることを知られたくない」というシャイな男性がまだまだいるのも現実。
うちの教室でも「教室からのダイレクトメールは送らないでください。家族にばれちゃうので」という方もいらっしゃいます。
社交ダンスを習おうかと思ったら、友人に「まだ早くない?」と言われたという30代女子もいたりして..
あのー、かのお試しセットが有名な基礎化粧品も20代、30代から始めてもいいわけですから、早く始めてくださいね(笑)。
もうちょっとだな、社交ダンス。
このふっきれない往生際の悪さも、せつない魅力だな、社交ダンス。
と、低くなった敷居をさらにバリアフリーに!と、考えている毎日です。

26.映画『Shall weダンス?』考察①社交ダンスの敷居の高さ 1/2

今をさかのぼること20年前、『Shall weダンス?』という映画が大ヒットしました。
覚えてらっしゃる方も多いのではないかと思います。
舞台は社交ダンスというコアな世界(ニッチな市場?)にもかかわらず、多くの人に愛され、社交ダンスを一躍メジャーに引き上げてくれた、エポックメイキングな作品です。

ストーリーはというと、これがいたってシンプルで、ひとことで言ってしまえば「平凡な中年サラリーマンが社交ダンスと出合い、人生の生きる喜びを見出していくというハートフルコメディなお話」。

公開当時(1996年)僕は大学を卒業したてのほやほやプロで、竹中直人さんが登場するたびドっと爆笑する映画館の観客を尻目に「そうそうそう、あるあるある!」と、笑いより共感する思いが強く、何度、アゴが鎖骨に突き刺さるほどうなずいたことか。

この映画には、
「社交ダンスに対する世間の偏見」
「主人公の葛藤」「ひと癖ある生徒たち」
「ペアダンスの難しさ」「ダンスにハマっていくプロセス」
「だれもが必ずやる奇妙な自主練習」「趣味が生きがいに変わっていく人たちの泣き笑い」…など
社交ダンスのリアルがぎゅうっと詰め込まれています。
極上の「コメディ」ですが、ダンスに関わる人間から観ると、限りなくリアルに近い「ノンフィクション」だと思いました。
この映画はこれから社交ダンスを始める方にとっては、わかりやすい参考書になりますし、すでに社交ダンスを始めていらっしゃる方にも、新たな発見が必ずあると思います。

社交ダンスに興味のある方、
社交ダンスが上手くなりたい方、
社交ダンスに行き詰っている方、
社交ダンスへのモチベーションが下がってきている方、
必見です、コレ。

25.『衣装のひみつと女心のお話』その② 《ラテン男子のやる気と鼻息》《曲種のイメージカラーって?》編

今回も前回に引き続き教室スタッフ女子(?)によるめくるめく衣装談議です。

《ラテン男子のやる気と鼻息》

三木  男性はスタンダード種目ですと、「正装」用の燕尾服を買ったらそれだけでけっこういけますものね。(「平服」だと、黒か濃紺のジャケット、白のワイシャツにタイ)

留巳  体型が変わらなければ、10年いけます。なんか羨ましいようなつまらないような(笑)。

三木  結婚式で新郎新婦のお父さんが着ているような燕尾服があるじゃないですか、あれ借りて、出ればいいんじゃない?とか言う人がいるんですけど…

留巳  競技会だときびしいなぁ

三木  肩がパカっと上がったまま降りてこないですもんね(笑)。社交ダンス用は燕尾服にしろ、ジャケットにしろ、特殊な裁断技術でアームホールをカッティングしてるので、肘を上げてもシワが寄らない、肩が上がらない、襟元が浮かないです。よくできてますよね。機能性という点においては、女性の衣装選びよりシビアかもしれませんね、男性は。

留巳  男子もラテン種目になると、衣装の自由度がぐんと増して、曲の持つカラーや個性が強く反映されてきます。「もー、シースルー&ラメラメで胸バーン! はだけてますけど、それが何か?」みたいな(笑)。

三木  私たちはぜんぜん見慣れてるので「いえ、特になにも感じませんが…」って、低体温な対応ですけど、一般の方には相当強烈みたいです(笑)。

留巳  やっぱりラテンのイメージは「セクシー&ワイルド」。それに加えて「パッション、さらにスパイシー、ときにキュート」と日本男児が不得意な分野がてんこ盛りですから。衣装でのアピールは必然、大事になってきますよね。肌も衣装の一部ということで、露出度の高いラテン男子は顔面もカラダもガンガン焼きます。

《曲種のイメージカラーって?》

三木  どの種目にも色のイメージってあるじゃないですか。ワルツなら白や水色の柔らかいノーブルなイメージのもの。

留巳  タンゴだと、赤と黒。情熱と哀愁、光と影、男と女…をイメージさせるものかな。

三木  スロー(フォックストロット)は寒色系のやさしい色。クイックは黄色やオレンジや赤などの軽快でパワフルなビタミンカラー。

留巳  ヴィエニーズ(ウィンナー)ワルツはパステル調のロマンチックな色。
どの種目もこの色じゃなきゃいけない!という決まりがあるわけじゃないんですけど、なんとなくみんなが共通して持っている曲の色イメージってあるんですよね。

三木  スタンダードはスタイルも定型に近いものがあって、トップスはタイト、スカートはやや長めの丈で、ふわりとエレガントなフォルムが多いですね。

留巳  ラテン種目になると、色もフォルムもさらに自由です。ルンバもチャチャチャもサンバもジャイブも、ぱっと思いつくだけでも赤や黄色の鮮やかな原色、セクシーな黒や紫、ゴージャスなゴールドやシルバーなど、固定化されたイメージカラーがあまりないんですよね。ただどの種目もボディコンシャスなフォルムは共通で、男女共に肌の露出度が非常に高い。

三木  スタンダードに比べ布面積が少ない分、お安いかというとそうでもないんですけどね(笑)。でも社交ダンスを始められたばかりの方でしたら、シンプルな競技仕様のドレスを一枚買っておかれるといいかもしれません。後々レースやストーンなどの飾りを足してバージョンアップできますし。
留巳  種目のイメージカラーも目安になりますが、まずは自分の好きな色のスカートやドレスを買ってください。衣装の力、色の力って思いのほか効果あるんですよ。

24.『衣装のひみつと女心のお話』その① 《衣装の力を借りて上達する》編

社交ダンスといえば、華やかでゴージャスなドレスを思い浮かべる女性が多いと思います。
生徒さんの中には「あのキラキラ、ふわふわが着たくて習い始めたんです!」という方も結構いらっしゃいますが、なにぶん中年ド真ん中の不器用男子ですので「わかります!その気持ち!」とは、正直、言い難く「ほぅ…なるほど」と、浅めの笑顔を浮かべてお答えするのが精一杯。
しかし結婚式のドレス選びで繰り広げられる死闘(?)でもわかるように、女性にとってドレス選びは夢であり憧れであり、1歩もひけない戦いの場。
ここに、サーモンピンクとショッキングピンクの差なんてわからない無粋な男子である僕が入る隙は1ミリもありません…。
ということで、今回はうちの教室の講師でもある留巳先生(ただ今、産休中)と三木先生に「社交ダンスの衣装」について話をしてもらいました。


《衣装の力を借りて上達する》

留巳  見学や体験レッスンの方には「動きやすい服ならなんでもOKです」と言っているんですが、本当に着物と足の開かないロングのタイトスカート以外の服装ならそこそこ踊れると思いますよ。レッスンを始められると、女性ならTシャツ、パンツ(ストレッチ素材か太めのもの)+ダンス用のスカートを着用される方が多いですね。男性はワイシャツやポロシャツに動きやすいパンツ。

三木  ただジーパンはあまりお勧めできません。デニム生地は動きにくいし、パーティーなどドレスコードがあるところでは着用不可なので。みなさん、レッスンを始められると、練習着も発表会のドレスもどんどんきらびやかになっていかれますよね。

留巳  女性の場合、「華やかなドレスが着たくて」という動機で社交ダンスを始められる方もけっこういらっしゃるので、もー、どんどん(笑)。

三木  Tシャツにジャージでも踊れますが、練習でもダンス用のスカートや衣装を着たほうが、断然上手に見えるんです。フォルムがきれいだし、何しろ踊りやすい。ダンスも映えます。そうなってくると、もう一着新しいのが欲しくなっちゃうんですよね。

留巳  自分もそうだったのでわかりますけど、上手くなった気がするんです(笑)。でも「その気」になるって大事ですよね。確実にモチベーションが上がりますから。ちらりと鏡に映る自分の姿が「ちょっと、いいじゃない私」と感じれば、背筋もさらに伸びますし。もっと頑張りたくなる。

三木  衣装の力っていうのは絶対にありますよね。競技会なんかでは「衣装の力」が3割ぐらいあるんじゃないでしょうか。

留巳  発表会やパーティーに出るとなると、フォーマルな衣装が必要になってきます。衣装の規定は発表会やパーティーの規模や趣旨にもよりますが、「平服」「礼服」「練習着でOK」など色々。先日、行なわれたうちの発表会では7色のモヒカンカツラに電飾付きのメガネ、おかめのお面という方もいらっしゃって…

三木  もはや仮装でした(笑)。

留巳  楽しかったぁ(笑)。

三木  でも競技会に出るとなると階級にもよりますが、衣装に規定があります。ノービス級から上のD、C、B、A級の競技会になると「正装」と言われるスタンダード競技用ドレスが必要になってきます。平服、準正装といった競技もあって、それだと「飾りの入っていないワンピースドレス」や「ツーピースドレス」などという規定になります。

留巳  なのでドレスの値段もピンキリ。大手ブランドメーカーで、オーダーで作るとなると30~40万円はザラですし、ドレスの素材や生地につける飾り(スワロフスキーやストーンなど)によってもぜんぜん違ってきます。

三木  レンタルという手もあります。2泊3日で3万~8万円ぐらい? これも、ものによりますね。でもネット通販などで探してみると、びっくりするくらいお安い値段でドレスを購入できたりするんです。ほんとうに値段に関してはピンキリですね。仲間同士の口コミやネットなど上手に使って、みなさん、素敵なドレスを格安で購入されたりしていますよね。「渋谷駅の地下街に社交ダンスのドレスやアクセサリーをお安く売っているお店が何軒もある」(しぶちかショッピングロード)とか。私はまだ行ってないんですけど。

留巳  悩ましいけど楽しいんですよね、衣装選びって。創意、工夫、努力のし甲斐がある。

23.『始めの一歩は左足を後ろへ』──初めての社交ダンスレッスン──

社交ダンスのレッスンってどんなことをするの?

というご質問をよく受けます。
何を踊るの?
靴はどうするの? 
もしや、キラキラの衣装でのっけから参加せよと…?
男同士で踊らされたりするんですか?
1回のレッスンでどれくらい踊れるようになるの?
いきなり鯖折りみたいに抱きしめられて踊らされるんですか?
…などなどライトな疑問からディープな謎まで、いろいろ。

そこで今回は、初めて社交ダンスの個人レッスンがどのように行なわれるのかを疑問と謎に答えつつ、時間を追って説明したいと思います。

個人レッスンの時間はヒトコマ25分です。

まずはご挨拶と簡単な自己紹介。
「今日はどちらからですか?」「めっきり寒くなりましたね」「社交ダンスのご経験は?」など、ありがちですが、ごくノーマルでマイルドなファーストコンタクトから。

足のサイズをお聞きして、レンタルシューズをご用意します。
持っていらっしゃる方はお持ちください。
ちなみに服装は“動きやすい軽装”をオススメしています。
(着物、浴衣、水着は不可!ぴっちぴちのタイトなミニスカートやゆるゆるの腰パンも避けてくださいね)

ではいよいよ、レッスン開始。

①「種目の説明」
社交ダンス初心者には「ブルース」という種目のステップをお教えします(希望があればその種目に合わせてレッスンします)。
まずは、立ち方、組み方、手の位置などの「ポジション」を手取り足取りしながら口頭でレクチャー。
男女手を取り合い、腰の上部に腕を回し軽くホルードしますが、「抱きしめたり」「鯖折り」したりすることはありません(笑)。
ちなみに女性の生徒さんには男性講師、
男性の生徒さんには女性講師が指導します。(5分ほど)

②「足型の説明と反復練習」
「後ろ、後ろ、開いて閉じて」
女性ならば左足を一歩後ろへ。これが最初の1歩です。
(男性ならば右足を1歩前へ。「前、前、開いて、閉じて」)
講師の足型を見て、マネて、ステップを覚えていただきます。
とても簡単なステップなので、数分で踏めるようになります。(見よう見まねタイム約7分)

③「ひとりで足型」
覚えた足型をひとりで踏んでいただきます(できない場合は横で講師がすかさずサポート)。
(1~2分)

④「ペアで踊ってみる」
講師と組んでカウントを数えながら、踊ります。
「踊る=移動」をここでしっかり体感していただき、講師のリードに引きずられるように(たぶん最初はそんな感じだと思います)ステップを踏みながら教室を半周。
スムーズにいかない点を直しつつ、教室を1週します。(約10分)

⑤「音楽に乗って踊る」
レッスンは残すところ、あと2分から3分! ステップができても、できなくても曲をかけて、音楽にのってペアで踊ります。
「できなくても楽しい、できたらもっと楽しい!」3分間です。
ふたりで音を感じながら踊る数分間に社交ダンスの「醍醐味」が、ぎゅっとつまっているはず。
そしてまたたく間に3分間は過ぎ…レッスン終了です。

お疲れさまでした。

多くの方がこの25分のレッスンで「ブルース」の基礎のステップをマスターし、1曲踊れるようになります。
もちろん個人差がありますので1回のレッスンでは覚えきれない方もいらっしゃいますが(ごくわずかですが)、2回~3回のレッスンで必ず踊れるようになります。
たった25分?と思われるかもしれませんが、レッスンの内容は充実していて、けっこうな運動量になります。
社交ダンスの「楽しさ」の片鱗はきっと感じていただけると思います。

ちなみに過去、ワンレッスンで5種目習得した仰天の初心者がいましたが、小学3年生のお子さんでした。
今でも講師陣の間でときどき話題になるちびっ子レジェンドです。

22.社交ダンス7つのいいこと その②

⑤  脳細胞がビシビシ活性化する

「簡単で面白い」と言うのは子どもたち。「複雑怪奇にして曖昧模糊…」と言うのは年配の方々。
同じステップでも若い脳と熟成が進んだ(?)脳ではやはり吸収力が違います。
決められた足型(ステップ)、耳馴染みがあるのにリズムの取り方が微妙な音楽、そこに加えて、ペアダンス…という枷(かせ)もあり、なかなか思い通りにならないものです。
まさに脳が軽くパニックを起こす。

でもその刺激がいいんです!
五感をフル回転させ、自分のカラダの動きをコントロールする。
普段使わない脳の機能が刺激され活性化されます。
カラダと頭を同時に使う!ことが、いちばんの脳トレになるといわれています。

「まだまだ大丈夫」な世代の方もぜひステップやリズムに四苦八苦してみてください。
難しいステップを軽やかに踏めたときの嬉しさ、自由自在に踊れたときの爽快感。
まだまだ自分のポテンシャルに伸びがあることを感じられるはずです。


⑥  仲間が増える、笑いが増える

中年も過ぎれば新しい出会いは格段に減ってきます。
出会いの場所も限られてくるので、なかなか友人を増やすのは難しい。
まして異性の友人など…。
僕の両親は自営業でしたので、人間関係のほとんどが仕事がらみのおつきあいでした。
そんなときに始めた社交ダンスで、新しい交友関係が繋がり、世界が一気に広がりました。
年齢や性別を越えて純粋にただ「踊る」という共通の楽しみを分け合う仲間たち。
「友だちができる」なんて小学校入学前の子どもじゃあるまいし…と思うかもしれませんが、人間いくつになったところで、気持ちはいっしょです。
新しいことを始める前はみなピカピカの1年生です。
人と人をつなぐ手段が、メールやツイッター、フェイスブックなどSNSが主役になる時代に、社交ダンスで「生身」の人と関わっていくことは、面倒くさいこともややこしいことも当然起こります。
だけど、そこに孤独や孤立はないと思うのです。


⑦  人生が楽しくなる!

コミュニケーション能力がつく、若返る、健康になる、ダイエット効果がある、脳トレになる…社交ダンスの効用をあれこれ書いてみましたが、どれもみなお得な付属品。
ありがたい副作用です。
しかし、「ただただ踊ることが楽しい」その快楽に勝るものなんて何ひとつないんです、本当は。

ダンスを始めて20年。
この教室を開いて7年。

どれだけステップを踏んで、どれだけこのホールを駆け巡ったかわかりませんが、
(距離にしたらきっと北海道から沖縄までとか楽にいっちゃうんだろなあ)
寝不足の朝も疲れきった夜も心がざらつく日も、音楽がかかればやっぱり踊りだしたくなる。
社交ダンスの醍醐味を説明せよ、と言われれば、言葉じゃなくて、「こんな感じです!」と踊ってみせたくなる。
言葉をいくらつくしても、どれだけ熱く語っても、その「楽しさ」は踊ってみなければわかりません。
社交ダンスは年齢や性別に関係なく、誰にでもできる、いつからでも始められる生涯スポーツです。
うちの生徒さんにも「歩くのはしんどいからイヤだけど、踊るのは大丈夫なのよね」というご高齢のご婦人がいらっしゃいますが、歩くこともままならないその方を踊らせているのは、紛れもなく「踊る楽しさ」だと思います。
絶対に楽しいから踊りませんか? それが言いたいだけなんです、本当は。

21.社交ダンス7つのいいこと その① 2/2

③知らず知らずダイエット

「美しい姿勢」を維持して踊るためには、それ相当のコアな筋肉が必要とされます。
四六時中、上体を引き上げている姿勢をとるのは正直しんどい。
だけど音楽に合わせて踊るダンスの楽しさは、そんなしんどさを軽々と凌駕していきます。
ワルツが踊れるようになる頃にはほとんどの方が、
「お腹周りがすっきりしてきた」、「体が軽い」と、テレビでよくみる健康食品のCMみたいなことをおっしゃる(笑)。
長いぽっちゃり体系歴を持つうちの母も例にもれず、社交ダンスを習い始めると急激に瘦せていきました。
あまりの瘦せっぷりに、「ガンかもしれない…」と、病院に飛び込んだみたいですが(しかも3軒も…)もちろん健康体。
話を聞けば「ダンスがすごく楽しくなっちゃって、週3~4回踊っていた」とのこと。
楽しく踊っていたら瘦せてびっくり…そんな棚ぼたダイエット効果も社交ダンスなら大いに、大いに、ありえます。



④異性とのコミュニケーションにときめく

社交ダンスは、男女が組んで踊ることに深い意味や意義があるのではないかと思います。
平たくいえば、そこが要であり真髄でありミソであり。
恋人でも妻でも夫でもない異性と手を取り合い、ぬくもりを伝え、呼吸を合わせ、ステップを刻む。
(ご夫婦でダンスを始めるのも、もちろんとても素敵なことだと思います!)
そこにあるのはスケベ根性やエロといわれるものではなく、もっと人間的な成熟した「関わり合い」です。
“ぜんぜんわからない女心”や“微妙にズレる男の気持ち”を探りあう難しさと面白さ。
人によって踊り方に違いが出るのもまたダンスの面白さだと僕は思います。
(同じコーチャーに同じことを習っているはずのパートナーですら各々の中のダンス論が違うのですから!)
うまく踊れれば、体育会的な達成感だけではなく、異性だからこその「満たされ感」も沸くというもの。
それが「ときめき」と呼ばれるものの正体だと思います。
若い世代にとって「ときめき」は、ストレートに青春のエネルギーになるだろうし、中年以降の世代には、滋味深い人生第2ステージの贈り物になるでしょう。
社交ダンスがくれるこの贈り物を「みなさん、受け取って開けてくれるといいのに」と、中年ど真ん中に入った僕は、今日もしみじみ思うのです。


あともう少し社交ダンスの魅力にお付き合いいただきたいのですが、続きはまた後ほど。。

20.社交ダンス7つのいいこと その① 1/2

僕が一番伝えたいこと。。。ダンスの魅力についておおいに語りたいと思います。
少し長くなりますがご容赦ください。


①  コミュニケーション能力の向上

社交ダンスはふたりで踊るもの。
ましてや社交と名がつくくらいですから、人との関わりは避けられません。
しかし、ダンスに言葉は不要。
踊っている最中は言葉というツールを使わずに相手の気持ちを探り、自分の気持ちを伝えなければなりません。
そのためにはどうすればいいのか? それは見る、聞く、触れる…。
怠けてサビついてる五感を総動員して、「人の機微」を丁寧に汲み取っていくことです。
「元気だった?」
「はじめまして。よろしくね」
そんな当たり前の挨拶から始まり、パートナーの表情や動きを見つめ、手を取って触れて、気持ちを伝える。
他人とつながることに喜びを感じることは、社交ダンスの根源であり醍醐味だと僕は思っています。
必然、ふたりで楽しく踊ることで「人と爽やかに関わっていく」能力は格段に上がっていくはずです。


②  「美しい姿勢」で7才若返る

社交ダンスを始めると、ドラスティックに変化するのが姿勢です。
ピンと胸を張り、背筋を伸ばして颯爽と歩く、踊る。
最近では「姿勢が変わるだけで5才、若く見える!」そんなアンチエイジングをうたう雑誌や健康・美容本をよく目にしますが、僕は「社交ダンスなら、7才若返ります」と常日頃から自信満々で公言しています。(10代、20代を除きますよー、もちろん)。
社交ダンスをされている方が男女問わず「若い!」「元気ですね」と、言われることが多いのは、まずはその姿勢にあり。
社交ダンスで必要とされる「美しい姿勢」は、世間一般でいうところの「正しい姿勢」より、さらに美的でハードですので、プラス2才…7才若返る!と、確信しています。
ミドルエイジ以上の方でしたら、どんな人も7才は若く見せてくれる、いちばん効果的で即効性のあるアンチエイジングです。

19.ジャイブ(Jive) 飛び散る汗と弾む陽気なステップ!

種目紹介もいよいよラストのジャイブです!!

その起源は1920年代のアメリカ北西部マンハッタンのハーレム。
ジャズに合わせて踊られたジターバグ(フォックストロットという説も)から始まったといわれています。
ジャイブとは「ジャズの音楽に乗って踊る」という意味。
1930年~40年代に、ジャズに合わせて踊るリンディーホップやジターバグ、ブギウギなどの軽快なダンスが流行し、ジャイブはそんなジャズ系ダンスがブレンドされた複合体として生まれました。
現在のジャイブといわれるダンスに形が整えられ、競技種目として加えられたのは1960年代末。
ラテン種目の中でも最も遅い末っ子です。

ラテン種目のひとつで、最も新しく、最も若々しく、最も年配泣かせな(?)曲でしょう。

リズムは4/4拍子。

1拍目にアクセントがありますが、2拍目と4拍目にパーカッシブアクセントがはいります。

ジャイブの代表的なカウントは、
1a2、3a4、12、
3a4、1a2、34、 です。

厳密にいうと
最初の「1」が3/4拍、「a」が1/4拍で、「2」が4/4=1拍 となります。


…などと、ややこしいことを書くと、社交ダンスをこれから始める方は「なにがなんだかさっぱり…」と思われるかもしれません。

初心者の方ですと、いつの間にやら、ルンバやジルバ、チャチャチャのリズムで踊ってしまうという一筋縄ではいかない難敵です。

それに加え、ジャイブはロックンロールやスイング系のリズムに乗って踊るビートの効いたダンスで、1小節に8つのステップが入るという技術的にも運動量的にもなかなかのツワモノ。

スピード感溢れる回転と飛び跳ねるようなバウンド、そしてベースを支えるジャズ特有のノリもジャイブには不可欠な要素です。

そんなこんなで、年配の方たちからは、「無理」「できない」「苦行か…」と敬遠されがちな曲ですが、このジャイブという曲は10種目の中でも、特に若返り効果の高い曲だと思います(あくまで個人的な意見ですが)

生徒さんを見ていても、必死のカウント取りやぴょんぴょんと飛び跳ねるように踊るステップの習得、1曲踊りきる体力など、ジャイブ習得の過程においては、自分の持っているポテンシャルをすべて発揮しなければなりません。
いやがおうにも若返る脳と肉体!
不思議とどの世代の人が踊っても「若々しく見える」ご機嫌な種目です。

難易度★★★★
アンチエイジング度★★★
ノリノリ度★★★★

18.パソドブレ(Pasodoble) 闘牛とフラメンコの濃縮還元ダンス

スペイン生まれのパソドブレは、闘牛士たちが闘牛場に入場する際に流れる楽曲のこと。
闘牛とフラメンコというスペイン人の生活に欠かせない文化が反映されています。
1920年頃、フランスに渡ったパソドブレはエキゾチックな異文化を好むパリで流行し、ほぼ同時期にイギリスを含む世界中に広まりました。
「スパニッシュ・ワンステップ」という、1拍に1歩という歩行スタイルのシンプルな踊りが踊られ、そこで音楽名だったパソドブレがダンスの名前として定着しました。
現在、競技会ではスピーディーでテクニカルな踊りが展開されます。

ラテンの種目のひとつで、フラメンコと闘牛の世界観が凝縮されている曲です。
リズムは2/4拍子。

イチニー、イチニー、イチニー、イチニー…
12、  12、  12、  12…

行進曲を思い出してカウントしてみてください。

パソドブレは厳密に規定化された足型を規則正しく踏んでいく…というより、行進曲のイチニー…のリズムに合わせて踊る、舞踊性の強い曲です。
フラメンコやジャズダンスなどの「振り付け」という感覚に近いかもしれません。

闘牛という世界観を表現するこの曲は、男性が闘牛士の役を演じ、女性は闘牛士の持つケープ(牛を挑発する赤い布)役や牛の役。
他のラテン種目は女性が主役ですが、このパソドブレだけは、男性が主役です(ラテン男子魂の見せ所)
闘牛士たちの死をかけて挑む勇気、誇り、強靭な意志などを表現する勇壮で緊張感溢れる動きが特徴的なダンスです。

ラテンの象徴でもあるエロティックな腰のうねりや柔らかく粘っこいバウンド、妖艶な笑顔も一切ありません(基本、「眉間にシワ」ですね)
胸をそらし上体を捻るポジションや、足を床に踏みつける動作、手や指に感情を乗せて踊る独特な動き…などフラメンコの動きも随所に取り入れられています。

習う機会が少ない曲ですが、陽気で開放的なラテン種目の中で、いちばんドラマティックといえるパソドブレ。
曲の持つテーマやドラマを感じ取り、全身で表現する力をつけるにはもってこいの種目です。


難易度★★★
マッチョ度★★★
なりきり度★★★★

17.サンバ(Samba) 底抜けに明るい灼熱のリズム

サンバの起源は諸説ありますが、
ブラジルのバイーア地方に伝わるサンバ・ジ・ホーダ(民間信仰に伴う踊りの一種)が、リオデジャネイロに伝えられ、その後、様々な要素を含み発展し、19世紀後半に生まれたといわれています。

サンバがブラジルに広がっていったのは1920年代。
カーニバルから除外されていた黒人たちの参加が許されるようになり、たちまちカーニバルの主役に躍り出ます。
サンバといえばリオのカーニバルを思い浮かべる方が多いでしょう。
サンバのリズムや音楽はカーニバルの熱狂とともにアメリカ、ヨーロッパに渡り、印象的な映画や音楽を数多く残しました。

サンバはラテン種目のひとつですが、リオのカーニバルで踊られるサンバとは一味違ったものです。

リズムは2/4拍子

ワン ァ ツー、ワン ァ ツー…
 1 a 2  、 1 a 2  …
「 a 」は1/4拍子です。

1拍目にアクセントがあります。

サンバはリズムとノリが命!
カウントは大事ですが、まずはサンバ独特の弾むようなリズムを聴いて感じてノってみてください。

膝を屈伸させて弾むように動く「バウンスアクション」という、特徴的な動きがあり、これは他のラテン種目でもみられないサンバならではのもの。
サンバカーニバルのダンサーたちの「妖艶な高速腰振り」。。といえば、わかるはずですね。
三浦和良がゴールを決めたときに見せるカズダンスも元をたどれば、サンバのバンスアクションです(きっと)。
膝の屈伸運動と「妖艶高速腰振り」…どこか関係あるの?と、初心者の方は思われるかもしれませんが、膝の屈伸運動を上半身に逃がさず、お腹で吸収するので、お腹周りが波打つような腰を振る動きになるのです。
お腹がサスペンションになっているんですね。(やってみるとわかります!)

サンバは歓喜のダンスと言われています。

生きる喜びをリズムに乗せて思いきり炸裂させる。
人の持つプリミティブなエネルギーのうねりをいちばん強く感じさせる種目です。

が!そもそも、この熱いリズムに乗るのが難しい。
「我を忘れて」が、できない日本人には、とっつきにくいけれど日常では味わえない高揚感と開放感を与えてくれる、踊り甲斐のある種目だと思います。


子どもたちはサンバが大好きで、カウントもそこそこにステップを覚え、高揚していく気分のままにリズムそのものになって踊ります。
「子どもって凄い…(ぜんぜんいうこと聞いてくれないけど、凄い…)」
と、大人になり過ぎた?自分をちょっとだけ反省したりしています。

社交ダンスのサンバは非常にテクニカルですが、足の指で土をしっかりと掴む力強いステップは、滑るように踊るスタンダード種目とは対極の魅力があります。


難易度★★
高揚度★★★★
ストレスフリー度★★★

16.ウィンナーワルツ(Viennese Waltz) 回転とヨーロッパのエスプリに酔って踊る

ウィンナーワルツはワルツと同じ起源を持ち(ワルツ参照)、競技ダンスの中では最も古い歴史を持っています。
ウィンナーワルツは1814年、15年の『ウィーン会議』での舞踏晩餐会をきっかけに、オーストリアのウィーンからヨーロッパ各国へ広まりました。その後、「ワルツ王」と呼ばれたヨハン・シュトラウス父子の音楽がワルツを洗練、発展させ、ヨーロッパのあらゆる階層の人々を魅了していきます。

20世紀初頭まで舞踏会の主役として君臨し、今も『美しき青きドナウ』や『皇帝円舞曲』『春の声』など、「ワルツ」と言えば、このウィンナーワルツの調べを思い浮かべる方が多いはずです。

スタンダード種目のひとつで、ヴィエニーズワルツとも呼ばれます。
「ウィンナー」も「ヴィエニーズ」も“ウィーンの”という意味。

リズムは3/4拍子。
1拍目にアクセントがあります。

ズン、チャッ、チャ  ズン、チャッ、チャ…

おなじみの三拍子で、カウントの取り方はワルツと同じですが、テンポがかなり速くなります。
(国際的に制定されている1分間に演奏される小節数がワルツ30小節に対してウィンナーワルツは58小節ですので、おおよそ倍のスピードになるわけです!)

そしていちばんの特徴は、
使用するステップの数(種類)が、めちゃめちゃ少ない!こと。

伝統的な形態を守り、継承するために、あえてバリエーション(応用)を作らないように定められているのです。


ナチュラルターン(右回り)
リバースターン(左回り)
チェンジステップ(右回りと左回りを切り替える)…などを主軸に、6パターンくらいの数少ないステップで構成されています。


日本人ならなぜか音楽が流れてくると脊髄反射的に反応し、誰でもできてしまう国民的体操『ラジオ体操第一』に、「あれこれ手を加えてバージョンアップさせてはいけない」そんな感じでしょうか(…ぜんぜん違うな…)。


そして基本のステップでもわかるように、ウィンナーワルツは回転(ターン)がメインのダンスです。

頭の高さを一定に保ち、上下動やスウェイ(横揺れ)をできるだけ押さえ、くるくるくるくる…と、回転を連続させます。しかも高速。

初めて踊るときは「目が回る」方が続出する、酩酊のダンスです。

ステップの種類が少なく、競技会でもめったに踊られない曲であり、練習生にもあまり好まれない曲ですが(おいおい…)、
フロアを独楽(こま)のように美しく舞う姿は華麗で躍動的!

新年を祝うウィーンの王宮舞踏会を彷彿させるヨ-ロッパのエスプリがつまった伝統のダンスは、音楽がかかれば誰でも思わず踊りだしたくなる1曲です。


難易度★★★★
酩酊度★★★
レア度★★

15.クイックステップ(Quickstep) 跳んで跳ねて走る!体育会系ダンス 2/2

クイックステップはスローフォックスと同じ起源を持っていますが、その踊りは実に対照的。

スローフォックスがおっとり屋でエレガント姉ならば、
クイックステップは無邪気でお転婆な妹といった感じでしょうか。

スピーディーな足運びでホールを一気に駆け抜ける疾走感と軽やかに飛び跳ねる小さなジャンプが他の種目には見られないクイックステップの特徴です。

まさに跳んだり、跳ねたり、走ったり。

その運動量の豊富さから、多分に「スポーツ」的といわれる種目ですが、スウィングの持つ揺れとワルツの優雅さが要求される、なかなかどうして手ごわい曲です。

スローフォックスと並び、「苦手な種目」に、このクイックステップを上げる方も多いようです。

ちなみに映画『Shall weダンス?』で、
役所広司が競技中に、渡辺えり子のドレスの裾を踏んでしまい、スカートが脱げる…という大事故を起こした種目が、このクイックステップでした。

私のパートナー(妻の留巳)も、袖につけた大量のもっふもふのフリルが、踊っている最中にあちらこちらにひっかかり、ブチブチと音をさせてちぎれさせながら笑顔で踊っていたことがありました。
曲が終わってみたら、「左腕のフリルが全部ないんですけど…はぁはぁ(息切れ)」みたいな。

そんなトラブルやハプニングは、ダンスの世界ではなんことのない日常茶飯事です。
(もっとすごいものが落ちたりするからなぁ…この話はいづれどこかで)

難易度★★★
カロリー消費度★★★★
爽快度★★★★

14.クイックステップ(Quickstep) 跳んで跳ねて走る!体育会系ダンス 1/2

クイックステップは初期はクイックタイム・フォックストロットと呼ばれ、フォックストロットが変化していったダンスです。

その名が示すようにスローフォックスより速いスピードで踊られていました。

そこにチャールストン(1920年代アメリカ南東部発祥のリズミカルで軽快なダンス)の、両膝をつけたまま左右の足を外側に跳ね上げるようなステップが取り入れられ、現在踊られているクイックステップの形が作られていきます。
1929年にはクイックステップという名称で正式競技種目として加わるようになりました。

クイックステップはスタンダード種目のひとつで、クイックと略して呼ばれることもあります。

リズムは4/4拍子。

スロー、クイック、クイック
(スローは2拍、クイックは1拍とカウントします)

1拍目と2拍目にアクセントがあります。

次回はより詳しくクイックステップの特徴を見ていきましょう。

13.スローフォックストロット(Slow Foxtrot) うっとり夢見る至福で至難のダンス 2/2

スローフォックストロットのリズムは4/4拍子。
イチ、ニー、サン、シー
スロー、クイック、クイック スロー、クイック、クイック…
(スローは2拍 クイックは1拍とカウントします)
1拍目と3拍目にアクセントがあります。


ゆっくりの4拍子なのですが、なぜか3拍子のワルツと踊りが似ていて、(いえ、本当はぜんぜん違うんですけど)、初心者の方などは「違いがいまひとつわからない…」と、困惑される方も多く、常に「苦手」な種目の上位にランキングされる種目です。

なぜ、3拍子のワルツと混同してしまうかというと、踊り方が似ているということもありますが、

4拍子なのに、ステップは3つ!
という、「1拍余る」感、
「1拍手持ち無沙汰」感。

どうもこれが人を惑わせるようです。

「スロー、クイック、クイック」のリズムですが、
スローは2拍ですので、
「スローぉ、クイッククイック」が正解。
この小さな「お」は、しっかりタメる。
カウントするときは、小さな「お」をちゃんと1拍としてタイミングをはかってください。

スローフォックストロットは、穏やかでゆったりうっとりと流れるフットワーク(足の運び)が醍醐味です。
ワルツは回転が多く、ライズ&フォールと呼ばれる大きく波打つような上下動が特徴ですが、スローフォックストロットは回転も少なく、ライズ&フォールの高低差も僅小です。
テンポも緩やかで、回転も少なく、高低さもほとんどない…。
しかしスローフォックストロットは「見た目よりずっと難しい!」と、初心者に限らず、どのレベルのダンサーたちからも真っ先に「苦手種目」に挙げられます。

その名が表しているように、スローフォックストロットの難しさはゆっくりと軽やかに踊ることにあります。

ゆっくりとした動きはにごまかしや粉飾がいっさいききません。

「ゆっくり軽やか動く」ことは、社交ダンスに限らず、どの舞踊においてもいちばん難しいことなのかもしれません。

スウィングの揺れとワルツの流麗さを秘めるスローフォックストロットを習得するには、それなりの時間が必要です。

難易度 ★★★★
心折れ度 ★★★
憧れ度 ★★★★★

12.スローフォックストロット(Slow Foxtrot) うっとり夢見る至福で至難のダンス 1/2

フォックストロットは、ラグタイムと呼ばれる曲(アメリカ南部で生まれたブルースとジャズの中間にある音楽)で踊られていました。
名前の由来は、その足運びが狐の歩き方に似ていたからともいわれていますが、現在では、フォックストロットはハリー・フォックスというアメリカ人が考案したダンスで彼の名前を取ってつけられたという説が有力です。
当時のフォックストロットは早いリズムと激しい振り付けの踊りでしたが、1915年頃にイギリスに渡ると、ワルツの動きが取り入れられ、ゆったりとした流れるようなフットワークのダンス、スローフォックストロットに生まれ変わりました。

スタンダード種目のひとつで、「スロー」、「スローフォックス」、「フォックス」など簡略して呼ばれます。
初めて聞く(見る?)方も多いのではないでしょうか。
聞いたことも見たこともないダンス…と、敬遠する前に、フランク・シナトラやグレン・ミラーといった、古きよきアメリカの代表的なスウィングジャズの曲である『ムーンライト・セレナード』や『スターダスト』を聴いてみてください。

「あー、知ってる知ってる。聞いたことある」と、どこかで一度は耳にしたことのある名曲です。
こんな曲に乗って踊られるのがスローフォックストロットです。
音楽のイメージだけでも、このダンスの魅力が伝わるのではないかと思います。

次回は、スローのリズムについて解説します。

11.チャチャチャ(Cha-cha-cha) 一度聴いたら忘れないコケティッシュなリズム

チャチャチャはマンボから派生した踊りで、1950年代にキューバの作曲家でありヴァイオリン奏者でもあるエンリケ・ホリンが最初のチャチャチャを作曲したといわれています。
その後、チャチャチャはアメリカに渡り、50年~60年代にかけて世界中に広まり、マンボを超えるブームを巻き起こします。
マンボよりもスローなテンポとマイルドなリズム、スクエア(四角形)を描きながら踊るという、踊りやすさが一般人に馴染みやすかったようです。
ちなみチャチャチャの言語的な由来は、床を叩くステップの音をキューバの擬音で表現したもの。

チャチャチャはラテンの種目のひとつで、「チャチャ」とも呼ばれる弾けるような小気味のよさが魅力のダンスです。

リズムは4/4拍子。
ルンバとよく似ていますが、4拍目からチャチャチャ(4&1)とふたつカウントが入ります。
これもルンバのように頭の「イチ」を抜かして、「2」から動きだすので、カウントをとる場合は、

ツー、スリー、チャチャチャ(もしくはツー、スリー、フォーアンドワン)
2  3   4&1
(「4」 と 「&」は1/2拍です)

こうやって書くと、なにやら小難しく感じてしまいますが、
♪ツー、スリー、チャチャチャー…と口ずさみながら踊れば大丈夫。

ステップの基本的な動きもルンバに似ていますが、チャチャチャは軽快で闊達。
歯切れのよさとスピード感に溢れたダンスです。
湿度と高揚感のある大人のエロスがルンバだとすれば、
チャチャチャは湿り気無し!粘度なし!暗さなし!
の、「男女の明るい戯れ」といった雰囲気をまとっています。

そんなダンスの持つカラー(特色)もあってか、とにかくキッズたちはチャチャチャが大好き。
メリハリのある素早い動きとアクセントの♪チャチャチャーが、どうやら子ども心をそそるらしく、恐ろしく習得が早い!
ルンバでもたつき、サンバでヘコみ、ジャイブで疲労困憊する大人たちを尻目に、子どもたちにとってラテンはどれも得意種目です。
数年前、小学生の女の子に「英語で種目の名前を書けるようにしなさい」と宿題を出したら、「Chi Chi Chi(それだとチチチだよ!)」って書いたあの子も、今では大人顔負けで競技会で活躍しています。

パートナーと距離をとり、個で踊る自由度の高いラテン種目には、踊り手の奔放な表現とカラダで感じるリズムそのものになる快感があるのだと思います。


難易度 ★★
うきうき度 ★★★
よこしま度 ★★

10.ルンバ(Rumba)エロスが蠢く男と女のラブゲーム 2/2

ルンバのリズムは4/4拍子。

ン、パッ、パッ、パー  ン、パッ、パッ、パー

ん? 「ン」って何でしょ?
ルンバは2拍目から動きだすので、1拍目は「待ち」もしくは「抜き」です。
1拍目はステップを踏みません。
ステップ自体はいたってシンプル、ラテン種目の中では最もゆったりとした動きということもあって、とても覚えやすいダンスです。

しかし、初心者にとって問題は、

ン、パッ、パッ、パー
イチニー サン シー

の「イチ」抜きのリズムにあり…!

日本人と西洋人の音取りの感覚の違いとも言われていますが、日本人は、どうしても「イチ」からいきたい。
カラダが勝手に「イチ」から動いてしまう(特に年配の方は、そう言われることが多いです)。

「盆踊り文化」といわれる日本人の4拍子は、

チャチャーン、チャチャ(1拍抜き)

もっとわかりやすくいえば、

パパーンがパン

「そうです、私が変なおじさんです…」の前に入る手拍子も、コレ。
日本人にこの「盆踊りジャパン」の4拍子が身に染み付いていますので、ルンバの1拍目を抜かすリズムがどうもしっくりこないのです。
カウントを取りながらなら踊れますが、いざ音楽が流れると微妙にズレていく…。
やがて1拍目からぐいぐいと踏み出し、気がつけばジャパンな4拍子で踊り倒す…
そんな初心者あるある…。
うちの親も50歳からダンスを習い始めたアマチュアですので、ルンバとなると、若干あやしいリズムで踊っています。
でも僕はそれでいいと思っているんです。

ダンスは音楽に乗って楽しく踊ることがいちばんの醍醐味。
「どこがイチ?」と悩みながら音を追っていくと、大変なストレスになります。
踊っていてもちっとも楽しくない。

だから、少々ハズれていても音楽に乗って楽しく踊れればOKだと思うんです。ダンスの教師としては、はばかられる発言かもしれませんが…。

とはいえ、ルンバは10種目の中でも、もっとも官能的な踊りといわれ、男と女の恋の駆け引きを、濃厚でけだるいメロディーに乗せて表現するダンスです。

1拍目を抜かし、2拍目に弱いアクセント、4拍目に強いアクセントがくるのがルンバのリズム。

ワルツの清く正しく美しい、1,2,3のリズムやタンゴの音が断絶する「間」とも違う、独特の弱拍と強拍にルンバの粋があります。
その粋を感じられたなら、ルンバはぐっと色艶めいた深い愛を語る踊りになります。


難易度★★★
エロス度★★★★★
うっとり度★★★

9.ルンバ(Rumba)エロスが蠢く男と女のラブゲーム 1/2

ワルツ・タンゴと続きましたので、今回はラテンの種目ルンバをご紹介します。

ルンバはキューバのアフリカ系住民(奴隷として連れてこられた人々)から生まれたラテン音楽です。
その起源は西アフリカにあるといわれ、豊穣を祈る舞踏など土着の宗教儀式から派生したプリミティブな娯楽音楽。
20世紀初頭、ルンバはキューバの庶民の間で流行り、やがて北アメリカ、ヨーロッパへと広まっていきます。
社交ダンスに取り入れられたルンバは「ソン」などのキューバ系ダンスの影響を色濃く受けたもので、欧米的なアレンジを受けて変貌していきます。

当時(1930年代)盛んに踊られていたルンバはスクエア・ルンバと呼ばれるもので、リズムの1拍目から踊りだす簡単な足運びのパーティーダンスでしたが、1955年、競技ダンスの本場イギリスは、2拍目から動き出すキューバン・ルンバを正式な社交ダンスの種目として公認。
以降、社交ダンスのルンバはキューバン・ルンバとなりました。

ジルバやブルースなどのパーティーステップを覚えた後、一番初めに習うのはワルツですが、ラテン種目ならルンバです。

次回は、ルンバの悩ましいリズムについて解説します

8.タンゴ(Tango)キレもコクもある情熱と哀愁のダンス 2/2

社交ダンスではワルツの次に踊られることが多い種目ですが、ワルツの優美さからは一転、燃え上がるような情熱とシャープな切れ味が求められる曲です。

ラッチャッチャッチャ チャチャチャ チャッチャ~
(おなじみの「ラ・クンパルシータ」のリズムで口ずさんでみてください)


誰が口ずさんでも、一音一音にスタッカートが入りますよね。
シャープでスタッカートの効いたタンゴは「動く、止まる」の「STOP&GO」といって、ステップの1歩1歩に止めの「間(ま)」があります。
その「間」がタンゴの要。ワルツは一瞬も止まることなく流れていきますが、タンゴは「一瞬の間」を作るために情熱的に動いて、シャープにキレよく止める!
情熱(加速)と冷静(停止)という緩急自在のドラマティックな踊りです。
「頭部を左右にキッレキレに振る」あのタンゴ独特の動きも「STOP&GO」の大事な表現のひとつです。

哀愁と激情のタンゴは、日本人がもっとも好む曲種であり、また日本人が踊るのにもっとも向いているともいわれています。
意外ですか?
その理由として、
馴染みやすいリズムとクリアなカウントと「骨盤が後傾気味である」
という日本人体型にあります。
西洋人の体は前バランス、東洋人は後ろバランスと言われ、西洋由来のスポーツやバレエをはじめとする舞踊全般において、後ろバランスは圧倒的なディスアドバンテージです。
ですが、タンゴは後ろバランスで踊る曲なんですね。数ある社交ダンスの曲種の中でも、後ろバランスというのはタンゴだけかと思います。
タンゴの「STOP&GO」は骨盤の使い方や重心の取り方が武術の動きに通じるものがあるようで、柔道や合気道の丹田の使い方や伝統芸能でもある能の摺り足などにもヒントがありそうです。
特に男性はタンゴの習得の早い方が多いように感じられます。

難易度 ★★★
その気度 ★★★★
肉食度 ★★

7.タンゴ(Tango)キレもコクもある情熱と哀愁のダンス 1/2

今回はタンゴです。
タンゴはラテン音楽のジャンルのひとつで、19世紀に大流行したキューバのハバネラ(ハバナの踊り)などの影響を受け、アルゼンチンのブエノスアイレスで成熟しました。
その後、ヨーロッパに渡ったタンゴは、コンチネンタルタンゴと呼ばれ、オーケストラで演奏されます。
哀愁を帯びた音色のバンドネオンという楽器をフィーチャーした小編成のバンドで演奏される従来のタンゴをアルゼンチンタンゴと呼んでいます。

日本に入ってきたのは主にコンチネンタルタンゴで、社交ダンスの舞踊曲として普及しました。
現在ではバンドネオンによるアルゼンチンタンゴも欧米各国、もちろん日本でも人気が高く、若い世代を中心によく踊られています。

リズムは2/4拍子。
クイック、クイック、スロー…
(スローは1拍、クイックは1/2拍)

1拍ごとに強いアクセントであるスッタカートが入るのがタンゴの特徴のひとつです。

次回は、さらに詳しくタンゴの特徴を解説します。

6.ワルツ(Waltz) 優雅で過酷な魅惑の3拍子 2/2

ワルツのリズムは3/4拍子。
ズン、チャッ、チャー ズン、チャッ、チャー
いわゆる3拍子というリズムです。(指揮棒を振ると三角形になぞる…あれです)
1拍目にアクセントがあり、同じ拍のリズムでステップを踏むので、誰にでも非常にわかりやすい。

ズン、チャッ、チャー ズン、チャッ チャー…
イチ  ニ  サン  イチ  ニ  サン…

というわけで、リズムはシンプルで簡単なのでステップも簡単に踏めます。
「じゃ、ワルツ楽勝じゃないですか!」と思いきや…これがもう初心者泣かせ、いや中級、上級、プロだって泣きたくなるハードな曲なのです。

ステップは単純で覚えやすいけれど、二人で組んで美しく踊るとなると、少々…いやかなりの時間と訓練が必要となります。
ワルツは日本語で円舞曲と表記されるように、回転(ターン)が多く、くるくると優雅に回るのが特徴。
そしてライズ&フォールと言われる、リズムに合わせたゆったりとしたアップダウン(上下動)が踊りの要です。
1歩目の終わりにライズ(上昇)が始まり、2歩目、3歩目はライズをキープ、そして3歩目の終わりにフォール(沈む)。
ブランコや振り子の上昇&下降に似た動きですね。
ふたりの呼吸(いき)のあった回転と優雅な上下動には、引きあがった強く美しい姿勢が不可欠。

軸のない丸まった姿勢では、回ってもよろけ、上がってもよろけ、ダウンしてもよろけてしまいます(泣)。
ダンスにおける「姿勢の重要性」を強烈に感じるのがワルツです。
「ワルツ」を習い始めると「踊るための姿勢矯正」や「踊るための四肢の筋肉の強化」など、自分の体との対話が始まります。

優雅で華やかな曲ですが、僕は肉体的にいちばん「しんどい」曲だと思っています。
しかし、床をすべるように踊るその優雅さ、凛とした姿勢から発せられるノーブルなオーラは、社交ダンスの象徴的な存在といえる魅惑的な種目です。


難易度 ★★★★
疲労度 ★★★★
紳士淑女度 ★★★★★

5.ワルツ(Waltz) 優雅で過酷な魅惑の3拍子 1/2

19世紀初頭、オーストリア・チロル地方で踊られていた伝統的舞曲レントラーが、ウィーンに渡り洗練されて「ワルツ」に生まれ変わります。
ワルツは「ミラー・フット」と呼ばれ、男女が向かい合って踊る世界初のダンスとなりました。
19世紀中頃にはヨハン・シュトラウス父子がウィンナーワルツを発展させていきますが、イギリスでは3拍子の音楽にツーステップを合わせるワルツが流行し、回転ではなく緩やかなアップダウンが象徴的な「イギリス風ワルツ」が生まれます。
20世紀に入るとここにアメリカでさらに磨かれた優雅なボストン・ワルツのテイストが加わり、現在、競技で踊られるイングリッシュスタイルのワルツが形成されました。
ワルツは世界各国を旅して日本にやってきたんですね。

スタンダード種目のひとつで、ジルバやブルースなどのパーティーステップを習い終えた後に、一番初めに習うことになるのがワルツ。「社交ダンスの華」とも言われる曲種です。

次回は、ワルツをさらに詳しく解説します。

4.だれでも踊れる!すぐ踊れる!ジルバ (Jitterbug) と ブルース (Blues) 3/3

ジルバは終戦とともに、アメリカ軍の兵士たちによって伝えられたダンスです。
軽快でリズミカルなステップで大変人気になり、日本中に広まったのです。
アメリカ人が発音する
【jitter bug(ジターバグ)】が…
ジタバク…ジラバ…ジルバ!
に聴こえたらしく 日本ではジルバと呼ばました。
日本人の空耳アワーから命名された曲種ともいえますね。

ジルバは男性と女性が向き合い、ステップによっては離れたり、片手だけジョイントしていたり、弾むようなリズムに合わせて軽快に踊ります。
男女ががっちりと向き合いホールドされたブルースに比べ「自由、自立度」の高いダンスです。

リズムは4/4拍子。

スロー、スロー、クイッククイック
(スローは2拍、クイックは1拍)

ステップはこんな感じ。

男性は 左足から…
左、  右、 後ろ、前

女性は 右足から…
右、  左、  前、後ろ


テンポはブルースより早く、アップテンポなポップスやロックンロールなど、軽快な音楽に合わせて踊られます。
映画やドラマでよく観るホールダンスのシーンは、このジルバが使われることが多く、
役所広司さんが主演の映画『Shall weダンス?』でも、小気味のいいリズミカルなジルバが主題歌として使われていました。
♪シャ~ル ウィ~ ダ~ンス からはじまる有名なあの曲ですね。

ブルースとジルバさえ押さえておけば、ちょっとした「ダンスパーティー」に誘われても、
「いやいやいやいやー、無理無理無理ー」なんて野暮なことは言わず、
「じゃ、ちょっとだけなら」と、さらり踊ることができます。

社交ダンス愛好家ならずとも、覚えておいて損はない、いや、覚えておきたいダンスです。

ジルバとブルースなら2回くらいのレッスンでOK。
習得の早い人だと1レッスン(25分の個人レッスン)で踊れます。
ベーシックなステップのみですが、もう少しステップを増やしてもプラス2、3回のレッスンで踊れるようになります。

ブルース
難易度 ★
羞恥度 ★★★
運動量 ★

ジルバ
難易度 ★
羞恥度 ★
運動量 ★★

3.だれでも踊れる!すぐ踊れる!ジルバ (Jitterbug) と ブルース (Blues) 2/3

ブルースは、19世紀後半、黒人たちが過酷な労働や抑圧された日々の鬱屈を解放するために歌い踊った曲が始まりでした。
ナイトクラブなど狭い場所で踊られていたため、混んだ場所でも踊れるシンプルなステップのスローなリズムのダンスです。

リズムは4/4拍子。

イチ、ニー、サン、シー、イチ、ニー、サン、シー…
スロー、スロー、クイック、クイック
(スローを2拍、クイックを1拍としてカウントします)

ステップはこんな感じ。ちょっとイメージしてみてください。
男性は 左足から…
進む、進む、開く、閉じる
下がる、下がる、開く、閉じる

女性は 右足から…
下がる、下がる、開く、閉じる
進む、進む、開く、閉じる

なんだかいけそうな感じがしませんか?

ブルースは男女が手をつなぎ、腕を組んでホールドし、体全体でコンタクトする。つまりお互いの体をつけたまま踊ります。
「社交ダンにスおける最初にして最大の壁」と言われるのが「相手に触れること」。手をつなぐ、腕をまわす、腰をつける…。
日本人が最も苦手とする「接触」というコミュニケーションの壁をまず「ブルース」でブレイク。

心も体もちょっとだけうちとけてきたところで、次にトライするのが「ジルバ」です。

2.だれでも踊れる!すぐ踊れる!ジルバ (Jitterbug) と ブルース (Blues) 1/3

今回から、社交ダンスのいろは ということで、ダンスの種目を解説します。

社交ダンスは10種類あり、
スタンダード(モダン、もしくはボールルームと呼ばれる) と、
ラテン に分けられます。

【スタンダード(モダン、もしくはボールルーム)】5種目
ワルツ(Waltz)
タンゴ(Tango)
スローフォックストロット(Slow foxtrot)
クイックステップ(Quickstep)
ウィンナーワルツ(Viennese waltz)

【ラテン】5種目
チャチャチャ(Cha cha cha)
サンバ(Samba)
ルンバ(Rumba)
パソドヴレ(Paso doble)
ジャイブ(Jive)

競技会に準じた分け方ですが、この10種類以外にも、ジルバ と ブルース という主にパーティーで踊られるダンスがあり一般に広く普及しています。

「パーティーダンス(ステップ)」と呼ばれているジルバとブルースですが、
「うちのおとうさん(おじいちゃん)が、なぜか踊れてびっくり」(前出の『社交ダンスの歴史さくっと振り返る』コラムを参照)なのが、この ジルバ と ブルース のはず。

その昔(終戦直後から昭和40年代あたりまで)、繁華街にはダンスホールがあり、ホールダンスが最も盛況だった時代に、盛んに踊られていたステップです。
この2つにマンボとスクエアルンバが加わった4種類が「パーティーダンス」の代表的なステップでした。
しかし、マンボはチャチャチャに、ルンバはキューバンルンバと呼ばれるものにとって変わられ、最近はあまり踊られなくなったのです。

でも、ジルバ と ブルース はいまだ健在。
シンプルで覚えやすいステップと日本人に馴染みのいいリズムで、「踊るものを拒まないダンス」として、パーティーダンスを代表する2大曲種。

ブルースは男性と女性がホールドし(両腕を組んで)一体となって踊るスタンダードスタイル。
ジルバは男女が離れて踊ることも許されるラテンスタイル。
ともにスタンダード、ラテンへの導入的役割を果たすもので、まさに「社交ダンス入門」といえる曲種です。一般的に教室やサークルなどでも、この2曲からスタートすることが多いのです。


次回はブルースについてもう少し詳しく解説します。

1.社交ダンスの歴史をさくっと振り返る

社交ダンスと聞いて、どんなことを思い浮かべますか?
このコラムでは、経験者の方はもちろん、やってみようと思っている方、ほんの少しでも興味をもってくださっている方の道しるべのようなものになればと思っています。

それでは、まず初めに社交ダンスの歴史についてです。

社交ダンスの起源は中世後期ヨーロッパの宮廷舞踊といわれています。18世紀に起こったフランス革命後、宮廷舞踊は滅びてしまいますが、その形を変え、ふたつの舞踊という形で残っていきます。
ひとつは鑑賞用の舞踊としてバレエ。
そしてもうひとつは社交を目的として踊られる宮廷ダンス(ボールルームダンス)でした。
その後、様々な国(ヨーロッパ内の諸国、アメリカ、キューバ、アルゼンチン、ブラジルなど)で生まれた音楽に合わせたダンスを確立させ、ボールルームダンスは欧米を中心に発展を続けます。

やがて日本にも文明開化とともに、このダンスが入ってきました。
日本における社交ダンスの始まりは、教科書でもおなじみの「鹿鳴館」からです。
1883年、外国人接待所として「鹿鳴館」で行なわれたパーティーが、日本の「社交ダンス」(=ボールルームダンス)の幕開けとなりました。しかし当時の社交ダンスは、近代化を急ぐ政府の「社交の手段」でしかなかったので、政府の高官や在日外交官など、ごく一部の上流階級の間でしか普及せず、一般大衆にとっては無縁なものでした。
鹿鳴館から約30年後の大正7年、日本で初めてのダンスホールが誕生します。
さらに、社交ダンスが広く一般に広まり、庶民に踊られるようになったのは、それから30年近く後、第二次世界大戦後のことです。進駐軍のためのダンスホールが次々に建設され、男女の出会いの場としてダンスパーティーが流行りました。今でいうところのクラブやディスコや街コンといったところでしょうか。

ダンスブームは大学生たちにも広がり、「早慶戦」も行なわれたほどでした。ダンスを踊れば「不良」「遊び人」というレッテルが貼られ、ダンスは良俗を乱す、いかがわしいものだという世間の雰囲気の中、詰襟(つめえり)で踊る大学生たちのダンスは「不純な遊び」を「熱いスポーツ」競技ダンスとしてアピールすることに大いに貢献しました。
学生たちはダンスパーティーを企画開催し、社会人は仕事帰りに街のダンスホールへ繰り出す…そんなよき時代があったそうです。
おとうさんやおじいさんに「もしかしてジルバ踊れたりする?」と、聞いてみてください。現在、65才以上(くらいかな)の方の中には、ジルバやルンバ、ブルースなどが踊れる方も大勢いらっしゃるはず。
社交ダンスはそれくらい身近なスポーツであり、粋な大人たちのたしなみや教養だったのです。

しかし、70年代から80年代にかけて、社交ダンスのブームは去り、その後も衰退の一途をたどっていきます。「ダンス氷河期」の到来…。
90年代を迎えるまでは、社交ダンスといえば、年配の主婦層や定年で社会の一線を退いた男性が趣味として楽しむという「高齢者たちの酔狂な習い事」(?)というイメージのものでした。
90年代に入り、周防正行監督の『Shall weダンス?』が大ヒットし、再びダンスブームが訪れます。その後もウリナリ芸能人社交ダンス部等バラエティー番組などで競技ダンスが盛んに取り上げられるようになり、社交ダンスは文化や教養、スポーツとして認知され、定着していきます。
現在日本の社交ダンス人口は世界一といわれていますが、シニアの厚い層に加え、ダンスをスポーツや音楽として捉えるジュニアや若年層の増加で、さらに広がりをみせているようです。(うれしいなあ)。

さらにひとりでも多くの方が社交ダンスに誘惑されて、「踊りだしたくなるような人生」を送ってくださいますように…!

※日本でいう「社交ダンス」は、正式にはインターナショナルスタイルもしくはイングリッシュスタイルといわれるイギリスで育った「ボールルームダンス」のことです。
そこから発展していったのが、ダンスを競技スポーツとして競う「競技」ダンス。一般的に踊られているのは、この競技ダンスで競われる10種類の種目(曲目)です。


参考資料
『JBDF インストラクター専門科目テキストブックvol.Ⅲ基礎理論・実技』財団法人 /日本ボールルームダンス連盟

『踊りませんか? 社交ダンスの世界』/浅野素女著(集英社新書)



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